第32話

最初はその関西弁が苦手だった。

言い方がきつくて、どれも怒られているようだった。


「なんで2年おらんねん。」


それは、僕らも知りたい。

エースのいないチームと言われていた。


1年だけで10人。

ギリギリの人数だ。

誰か1人でもかけたら、試合すらあやうい。

だから、全員で強くならなきゃいけなかった。


幽霊部員の2年はいない方がマシだったし、

正直、こんなあたりが強そうな人が先輩で

しかも、関西ユースなんて人がきてしまって

ますますやりずらくなった、と思った。

最初は。


「お前ら、強いけど、なんかなぁ、仲良しバスケみたいやで。

守りはめっちゃええねんけど。攻めがないなぁ。」


そう言われて、全員が言い返せなかった。

攻めのバスケはスタイルではなかったからだ。


「オフェンス、俺でよかったら教えるで。」


そこから、チームの雰囲気もかなり明るくなって

練習試合も前より点が取れるようになりますます強くなった。




「今では、すごい頼りになるエースですよ。」

「そりゃそうやろ。俺強いねんから。」


エースがいるチームになった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る