ダンジョンへ行こう



妖精王さんとのお悩み相談を終えた次の日、早速目を覚ました面々に伝えていく。


「みんな、僕このまま追われ続けながら生きていくのが少し怖いと思ってたんだ。」


「す、すまん…。」


すぐさまクロウさんが謝る。


「ううん、クロウさんのせいじゃない。そもそも前から追われていたし…。でも、少しでも心を軽くする方法を妖精王さんから教えてもらいました。」


ピンと来ないクロウさんとピンと来るヴァルさんとチビうささん。

クロウさんに妖精王さんとの事を簡単に説明し、西にあるダンジョンへ行く旨も伝える。

もちろん、転移石入手という目的も。



「なるほど転移石か。確かに場所を転々と移動出来ればどれだけ心休まるか。」


ヴァルさん達も同意するように頷く。

ここにいる殆どが同じ境遇に苦しむ仲間。転移石の有り難みが理解出来る。


「けど、そんな貴重なもんってことはかなりそのダンジョンって高難度なんじゃねえか?」


僕もそう思ってた。

けど…。


「はい、難易度はかなり高いと思います。でも、考えて見てください。今までの恐怖実体験に比べたらとても可愛く思えませんか。」


一人と一匹がこれまでの半生を思い返す。

ちょっと涙が出そう。

もう一匹は見様見真似で腕を組んで思い出す素振りをする、可愛い。



「「……………………確かに(ヴァル)。」」



オークにオーガ、もしかしたらゴーレムやドラゴン。

でも、それら全てが優しく思えるはず。


普通のドラゴンもイカれた神様や首をへし折る受付嬢に比べたらトカゲ同然。


「なんだろうな、凄く大丈夫な気がしてきた。」


「ヴァルヴァヴァ(そもそも吾輩は最強種で終焉の黒炎竜である。一部を除いたら怖いもの無しである。)」


「クゥー!」



みんなの暗かった表情も明るくなってきた。

非常識な体験をしてきた僕らにダンジョン程度恐るるに足りず。



あの人達以外なら幾らでも掛かってこいと強気に意気込む。

そして、全員で掛け声を合わせていざ出発。



道中は問題無いから一気に省略してダンジョンまで行こう。




本当に問題は無かった、道中は。






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