終末のダンジョン
王ちゃんのお悩み相談室
僕達はオルスタル帝国の主要都市である帝都を逃げるように出た。
どんな理由であれ誘拐まがいを行なった事には変わらない。まだ帝国内だけれど街や村には訪れていない。
おそらく犯罪者として扱われていると思うから安易に入ることは出来ない。
元々これまでのこの世界での哀しい経験があるから野宿に関しては特に苦はない、ちょっとは切なくなるけど。
でも、僕が落ち込むとクロウさんが申し訳なさそうに謝ってしまう。気にしないでと言ってもやっぱり気にしてしまうよね。
だから、なるべく表情に出ないように頑張ります。
ヴァルさんやチビうささんが目一杯モフらせてあげているからそのうち元気になるはず。僕も何度ももふもふに癒やされたから保証出来る。
さて、今日は森の中に出来てた小さな湖付近で野宿としよう。
冒険者歴が僕よりも長いクロウさん。
何処からともなくキャンプセットや食材を出したら驚いていたけれど、さすが先輩冒険者さん適応力が早い。
お礼代わりにはならないけど俺が飯を作ろうと手際良く晩御飯を作り始めた。
この世界の男性の女子力を舐めてはいけない。
冒険者飯で申し訳ないと謝りながら出たのは、ほぐし肉の甘辛煮。
屋台顔負けの腕前に驚く。料理人としてやっていけそう。
クロウさんの手料理をしっかりと味わい満足し終えたら今日はお休み。
空は暗く月光が湖を優しく照らす。
2匹と一人の寝息が聴こえる中、僕だけはその湖の側で体育座りで佇む。
キラキラと輝く湖面を黙って眺める。
「ふむ、元気がないのう。」
不意に聞き覚えのある声がしたと思えばすぐそばで心配そうに見下ろす精霊王さんが居た。
「え、精霊王さん!?どうしてここに呼んでないですよね?」
もしかして無意識に呼んでしまったのかも。
「すまん、勝手にお主の魔力を拝借して来てしもうた。馬鹿からお主の話を聞いて心配になったのじゃ。大変じゃったのう。」
精霊王さんは眉をひそめ申し訳なく謝りつつ、しゃがみ込み僕と視線を合わす。
人に近い姿でも妖精王さん相手だと目を逸らすことはない。
それより馬鹿って神様のことかな?
うん、間違いないと思う。
そして、妖精王さんは小さい子をあやすように僕の頭を優しく抱き締めた。
いきなりの行動にビクリとする。
けれども、なんだか温かくて心がポカポカしていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます