神様のガチ泣き
妖精王さんと神様が扉の中に入って2日が経過した。
時折、扉から神様らしき腕がニュッと出てきてはすぐに引き摺り込まれていく光景が度々目撃された。
最初こそ昔観たホラー映画のようで不気味で怖かったけど、チビうささんと妖精さん達のおかげでそれは薄れていった。
ヴァルさんは僕と怖がっていたよ。
2日目を終わり3日目の朝。
ゆっくりと扉が開き、地を這いずりながら息絶え絶えの神様とすっきりとした表情の妖精王さんが戻ってきた。
神様らしからぬ不憫なさまにうつ伏せで倒れるそれへ思わず手を差し伸べる。
僕の手をガシッと掴み上げたその顔は、涎を垂らし欲望塗れだった。
「ふへへへ、コータさんの生手ですぅ。ちょっとすりすりさせて頂きますねー。」
「ひいぃっ!?」
どんな説教されてもへこたれない、Gの称号を持つ虫並みにしぶとい。
がっつりと握られた手が離れない。
「へっへっへ」
「や、やめてぇ‥。」
手に近づくGな神様。
でも、また女神様から救いの足が。
ぶへぇと神様というか女の子が出してはいけない声を発して頭を踏まれる神様。
「ぶっぴ、ふひばは、ばびざばへふをー!(ちょっと、私は神様ですよー!)」
「よし、追加じゃのう。行くぞ。」
有無を言わさず足を掴み連れて行く。
うつ伏せの状態だから、神様の顔面が削られていく。
だ、大丈夫かな?
あれから2日後、罰で閉ざされていた扉がもう一度開かれた。
今度は這いずる姿はなく、顔を両手で覆い嗚咽を漏らす女の子が出てきた。
顔は隠れて分からないけど容貌から神様だと確定出来る。
指で塞ぎ切れない涙が湧き水のように際限なく流れ続けている。
妖精さん達も泣いている子の前では心配そうに側を飛んでいる。
でも、神様はひたすら声を殺して泣き続ける。
「しっかりお灸をすえたからのう。彼奴が落ち着いたら今までの迷惑行為を謝罪させるから安心せい。」
「は、はい。」
とても爽やかな笑顔で仰られる。
後ろで未だに号泣する神様と偉い違いだ。
僕の為に怒ってくれたとはいえ神様から恩恵を頂いているのも本当。
少しだけ同情心と申し訳無い気持ちが生まれました。
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