待ってない来客



ようやく落ち着いた。

妖精王さんはずっと微笑みを携えたまま僕の側で黙ってついていてくれた。


あの神様と友達でいるのに、こんなにも慈愛に満ちているなんてまさしく女神様。

僕が思わずお祈りをしてしまうほどに。


「これこれ儂は妖精じゃ、祈られても困るぞ。ほれここに座って、これでも飲んで落ち着くと良い。」



巨木の中に何故かある切り株に腰をかける。

2人の妖精さんが一生懸命コップを運んで来てくれた。コップは妖精さんより少し大きいくらいで明らかに重そう。中身も揺れでちょこっと散っている。


僕は慌てて受け取る。ちゃんと撫でてーと頭を差し出すので撫でるのも忘れない。


先ほど泣いていたのもあってか、チビうささんとヴァルさん、そして妖精さん達が心配した様子で引っ付いてくれる。

妖精王さんはそれを微笑ましそうに見ている。


ユーリル大森林に続く居心地の良さ。



妖精王さんの話だとしばらくは来ないっぽいようだから、許可を頂けるなら少しの間ここでゆっくりさせて貰おうかな



「あのー、少しの間だけここで過ごしても良いですか?このままお別れは寂しいので‥。」


「ん?もちろん良いに決まっておろう。この子らも大歓迎しておる。彼奴が来るまでは存分に過ごすと良いのじゃ。」


可愛らしく片目をパチンで了承のサイン。

ちゃんと理解してもらえるってこんなに嬉しいんだ。





許可を得た日から約10日間。

世界が幸せに満ち溢れていると感じるほど楽しい日々でした。


チビうささん達と妖精さん達で日が暮れるまで追いかけっこしたり隠れんぼ。

巨木の周りに咲き誇る花畑の花を使ってティアラを作ったり、それを妖精王さんにみんなでプレゼントしたりと正に天国。



あー幸せ。





でも、天国があるなら地獄もある。

それはある昼下がりのこと。

妖精王さんや妖精さん達とワイワイおやつタイムの時にやってきた。



それは空からニコニコとやってきた。



「ふふ、お待たせしました。可愛い貴方の正妻こと神様の登場ですよードドン!!」



スポットライトの如く光を浴びて、一応神々しく現れた。



僕の幸せが長くは続いてくれない。




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