ソネチカ共和国と我国間で行われた戦争行為に関する資料
三賀 隙
はじめに
忌々しい戦争が終結してから、この夏で3年となる。
人類史に類を見ないあの戦争では、多くの人がその家族、友人を亡くし、生き残った人々も未だ癒えぬ傷と戦っている。
この私も、戦争で家族を失った。いまとなっても、あの時、あの場所で、何かできたのではないかと後悔しない日はない。
しかし、時は無情にも過ぎ去るばかりで、あの日に戻ることは決して、ない。
だからといって、過去の行いを後悔するというのは、無意味なことなのだろうか。
私にはまだ、その問に対する答えは見つけられていない。
しかし、これだけは言える。過去の過ちに対する、「反省」はなされるべきである、と。
昨今の世論を見ていると、いたずらに戦後からの脱却を急ぎ、あの大きな過ちに対する反省が十分になされないまま、復興を成し遂げようとしているのではないかと感じる。このままでは、また同じ過ちを繰り返すことになりかねない。
我々歴史家の中でも、体系的かつ戦争全体を総括できるような論文はまだ発表できておらず、このままでは資料が散逸していくばかりである。
そこで私は、戦争資料の収集を始めることにした。
この文章は、その成果を将来の歴史家のために残すべく、また伝えるべくして執筆されたものである。
中にはその情報の確実性が些か劣るものも混ざっているだろう。
だが、私ごときが資料を取捨選択することで、将来の歴史家の研究に不備が生じないよう、どんな資料であったとしても、ここに記載することとした。
また、なるべく我国側からの資料だけではなく、ソネチカ側からの資料も収集した。
願わくは、未来の才能ある者の一助となることを。
そして、もう二度とあのような戦禍によって、人々が殺し合わないで済むように。
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