2つの感情花束 〜君へ捧げる賛美歌〜 ※改変中

アキノリ@pokkey11.1

第1話 好=ヤンデレ

突然だが、そこに居る貴方に問題だ。

性格上にかなりと言うか、非常に問題が有る病んでいるデレ=短略化で(ヤンデレ)と呼ばれるとても大変な言葉をご存知だろうか。


県立高二で16歳、羽柴和樹。

更に中肉で身長173センチの鼻が高いだけの単発の黒髪。

イケメン+ブサイク÷2=俺という人間にはトドメでヤンデレで俺の女付き合いを許さず、否定しまくるそれはそれは手に負えない様な幼馴染が居たりする。


でもいつしか俺はその影響か、そんな幼馴染に惹かれていた。

俺はただ心の中の恐怖に打ち勝つ様にし、太陽を背に目の前で長い艶やかな黒髪を風邪でなびかせている幼馴染をジッと見ていた。

そして願う、ただ一つのそれを。


「.....それで.....和樹。話って何?」


「.....」


柔和に見て話してくる幼馴染に緊張で答えれなかった。

俺は恐怖心と心臓の高鳴りを感じながらただ、ジッと見る。


5月の柔らかな風の中、俺は通っている学校の屋上で幼馴染と一対一で立っていた。

幼馴染は全てにおいて(女)を許さない。

それが、写真、絵、本などであったとしても、だ。


黒髪のボブで、頭にカチューシャ的な、所謂、どっかの涼宮みたいな黄色のカチューシャを気に入っていて身に付けている。

身長163センチの水瀬好(みなせよしみ)という、幼馴染。


俺から見ても、周りから見ても、顔立ちも整っているが故にとても可愛いくて。

そんな彼女が俺の幼馴染だという事が信じられなかった。

俺は昔から、彼女の事が好きで。

ヤンデレで、恐怖を感じながらも俺に構ってくれる、そんな彼女が好きだった。


その為、高二の春の事。

俺は意を決して、手を前に出して。

学校の屋上で好に告白をした。


「.....好!俺と付き合って下さい!」


「え?.....い、嫌だけど....」


「は、ちょ、なっ!?」


ちょっと待ってくれ、まさかの展開だ。

俺好きなヤンデレならきっと大丈夫と、思ったのに。

何故か、開始1秒で直ぐに思いっきり玉砕した。

俺は嘘だろと驚愕して、青ざめ、震えながら聞いてみる。


「.....な、何でだよ!」


「.....私、好きな人が居るから.....」


「嘘だろ!?」


ちょっと待ってくれよ!?俺は滅茶苦茶ショックだった。

己の膝を崩して、コンクリートの鳩フンもある様な地面に四つん這いになる。

余りのショックに、ただ打ちひしがれていた。

ヤンデレの様に、ただひたすらに俺に構うくせに。


女の子が居たらぶち殺すとか言っている癖に、何故なのだ!?

何故、俺はフラられた!意味が分からん!


「.....く、くぅ.....」


「でも、有難う。和樹。凄く、凄く嬉しかったよ」


その様な言葉であっても俺の心にはあまり響かない。

涙が出そうだ、と、思ってそこでハッとして顔を上げる。

そして俺は静かに好に聞いた。


「.....あのさ、だったら俺は女の子と付き合って良いんだよな?よく考えたら」


「ハァ?駄目に決まっているでしょ.....」


いきなり、好の顔が死神の様な顔になって、そして何故か目から思いっきりにハイライトが消えた。

そして俺の首に手を掛けようと.....って!?

オイオイオイ!?何故に!?


「ちょ、何で!?これ理不尽だよね!?」


「.....とにかく駄目。和樹は一生、女の子と付き合ったら駄目。殺すよ」


「.....意味がマジで分からない.....」


いやちょっとマジで。

何でこんな理不尽なんだ意味が分からん。

いや、本当にガチで意味が分からない!


それにコイツ、付き合っていると言いながらもその付き合っている奴の名前を絶対に言わないし。

俺だけに喋らせやがって。


何故、こんな感じなのか全く分からん。

俺はその様に顔を歪めながら好に向いてみる。

好は眉を顰めて俺を見てくる。


「.....絶対に付き合うのは駄目。殺すからね」


「.....何でなんだ.....お前、本当に俺の事は好きじゃないんだよな?」


「うん、好きじゃないけど。和樹は幼馴染だから、付き合ったら殺すから」


ハイライトを消しながら、真顔でその様に話す。

ごめん、マジで意味が分からない。


絶対にこれおかしいですよね?

一体、何故だ?


「.....くぅ.....ま、まぁ良いや。.....そろそろ昼休み終わるから出ようぜ.....」


思って、前を見ていると喜ぶ様な声がした。

俺は背後を見る。

真顔の好が居るだけだ。


「.....お前、本当に俺の事、何とも思ってないんだよな?付き合っている奴が居るんだよな?」


「全くその通りだからね」


「.....」


絶対というか、滅茶苦茶に怪しんだけど。

でも良いや、あまり追求したらぶっ殺されそうになるし。

取り敢えず今は止めておこう。



「.....おー。.....大丈夫だったか?」


教室に戻ると、早速と言わんばかりに友人の飯島谷(いいじまたに)がニヤニヤしながら俺に聞いてきた。


少しだけアニメオタッキーな、青春!!!という感じの爽やかな顔立ち。

そして身長は168センチの帰宅部で。

黒髪短髪の男だ。


俺は首を振って、苦笑して椅子に腰掛けた。

そして、教科書を取り敢えず用意する。

谷はそうかぁと苦笑いしてから直ぐに驚いた顔になった。

何故かと言われたら、谷も知っているから。


好がヤンデレという事を、だ。

それ故に相当に珍しいと思ったのだろう。


「逆に何でだ!?」


「いや、その、付き合っている奴がいるんだと.....」


「.....え!?」


そうなるよね?と思うんだが。

俺だってマジで何で?って感じだよ。

ため息を吐きながら、言われた言葉を谷に聞いてみる。


「お前にゾッコンだよな?その、ヤンデレ.....気味だから」


「.....あのさ、例えばなんだけど、俺が女性と付き合いのを他で付き合っている幼馴染に止められるのっておかしいか?」


「.....!?.....それは.....え?おかしくね?」


「.....だろ?」


俺は女子風紀委員と会話している、好をジッと見る。

何時も通りな感じで好は柔和に話している。


そんな好をもう一度、眉を顰めて俺は見る。

絶対に何か隠していると俺はその様に思うのだが。

でもヤンデレだから、聞けないし、怖い。


「.....不思議な女子だな、好は.....」


「.....だろ?ちょっと俺にも訳が分からん。アイツの頭ってどうなってんだろうな」


うーん、と考え込む俺。

好は付き合っているのに俺は女と付き合ったら駄目って。

理不尽だ.....秘密も多いのが気になるし。


キーンコーンカーンコーン


「.....ああー、チャイム鳴ったな」


「くそう。また授業かぁ。取り敢えず、眠くならない様に気をつけよ」


「ああ、そうだな」


そして、英語教師が入って来て俺達は集中モードに入る。

そんな中、俺だけは別の事を考えていた。

振られたショックとかそういうの。


まぁ、もう振られたから諦めないといけないのだが。

でもなぁ、なんだかしっくり来ない。



「.....帰るよ。和樹」


「.....お、おう」


猛烈な威圧感を受けながら、俺は冷や汗をかきつつ。

谷に手を挙げて帰る準備をした。

そして、帰宅開始だ。


取り敢えず、聞きたい事が山ほど有るんだが。

その様に思いながら、早速聞く。


「なぁ?俺って何で女と付き合ったら駄目なんだ?.....お前には男が居るんだろ?」


「まだ聞く?殺すよ。私は変な女に和樹が絡まれない様にしたいだけ」


「.....いや、でもな.....おかしくね?」


俺の言葉に、ため息を盛大に吐いて。

そして、好は理由を話し出した。

説教の様な形で、だ。


「.....あのね。私は和ちゃんの将来が安泰する様にしている様にしているの。それが理由だからそれ以上は無い」


「.....いや.....腑に落ちない.....」


まぁ、何時まで考えても仕方が無いか。

と思いつつ考えているとふと、宿題を置き忘れていた事を思い出した。

掃除当番の谷に折角色々、任せて来たのにマジかよ。


「宿題を忘れてきた。すまんけど待っとってくれないか」


「.....うん、じゃあ待っとく」


「わりぃな」


断りを入れてから。

廊下を逆に走ってそして俺は教室に駆け出して行く。

掃除が終わった様だ、無人の教室に入った。


辺りを見渡して俺の席の宿題を見つけて鞄にぶち込む。

すると、足元で何かを蹴飛ばした。


「.....あ?」


(和樹日記)


「.....???」


丁度椅子と椅子の間、通路の辺りだ。

俺はその和樹日記とやらを手にとって。

うっかり、中身を見てしまった。


ギョッとした。

あまりにもギョッとし過ぎるぐらいに、だ。

ちょっと待ってくれ、何じゃこれ。

4月12日、4月13日、4月14日.....と続き。


「.....!?」


(4月15日。毎日の和樹の鞄チェック。あ、寒い中、和樹に告白された。とっても嬉しくて、舞い上がりそうになった。付き合いたいなぁ!私だけの和樹。今日の和樹の行動だけど、授業中は寝ていた。でも集中して勉強、トイレ、それから職員室、体育、放課後.....という感じ!視線も感じた!.....まぁ、もし、いけない女が寄ってきたらぶっ殺してやる。内臓を抉ってから天日干しにしてやる。ああ、私だけの和樹.....和樹和樹和樹和樹和樹.....愛してる.....愛してる.....愛してる!)


狂気のメッセージの様なモノが毎日、綴られていた。

いや、ちょ、これが日記すか。


俺はゾッとしながら、パタンと閉じた。

その直後、背後に殺気を感じた。


「.....和樹.....何しているの.....」


「ちょ、何!?好!?」


次の瞬間、ノートを取り上げられた。

そして自らの鞄に押し込む、好。


俺は心底、ゾッとしながら見つめ続けていると。

好がハイライトを消して静かに見据えてくる。

ただ、真顔で。


いや、ちょ、怖い。

俺はその様に思いながら、青ざめて震える。

そんな中、好は一言、目付きを鋭くして発した。


「.....そのノートは読んじゃ駄目。次読んだら殺すから。いくら和樹でも」


「あ、うん、でも、お前.....」


「さ、手を取って」


殺すって怖いんですがとその様に思いながら。

冷や汗を流しつつ好の手を握って尻餅をついた、場所から立ち上がる。

どうしたいんだ?その様に、思いながら。

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