龍人の俺だけど、今から世界を変えたいと思います。

三遅三九

第1話

 今の生活に対しては特に不満はない。

 現在27歳、独身。今まで誰とも付き合ったことがない。35までに結婚できなかったらそのまま独身を貫こうと思う。

 そして、一応大学を出て高校の教員免許を持っているから、今は生徒たちにに数学をを教えている。さらに小、中、高と剣道をしていたから剣道の顧問だ。

 教師は正直ブラックだ。

 朝早くに学校に来て夜遅くに帰る、ここまでは良い。ただ、土日は部活の試合や遠征があったりと

 休日らしい休日はないにひとしい。

 しかも安月給。これほどブラックな職業だとは思わなかった。

 唯一の救いは毎日の生徒との楽しい会話だった。

 学校までは歩いて行っている。

 別に車の免許も車も持っているから車で行けば良いんだけど、ガソリン代もバカにはならない。

 ということで毎日歩いて通勤。



「ハーー今日も疲れたー」


 そんな独り言を言いながら歩いていた。

 今日は金曜日。今週も仕事を頑張った。

 まあ、土日も部活があるんだけどね。

 俺は疲れ切った足をゆっくり動かして進んだ。

 すると、突然雨が降って来た。

 おいおいまじかよ。

 そう思い、たまたま通りかかっていた公園の屋根付きベンチに座って軽く雨をはたいた。

 雨は結構強く、小さくはあるがゴロゴロという音が聞こる。

 あーどうしよっかな。

 時間は8時14分。

 見たいドラマは9時からだからまだ間に合う。少し雨宿りしていこう。

 そう思い、5分ほど待っていたら1組のカップルが来た。

 入って来た途端俺と目が合って軽く会釈をした。俺もそれを返した。

 しかし、その1組のカップルはまるで誰もいなかったかのように話した。


「大丈夫か、ユキコ」

「うん大丈夫」


 なんか少し腹が立った。

 今まで恋愛経験のない俺への当てつけか。

 二人は手を握りながら、話を続けた。


「この後どうしよっかー」

「どうしよっかねー。あ、そうだ。俺のアパートこの近くだから、よかったら寄ってく?」

「あ、そうなの?じゃそうするー」


 彼氏も家に誘うのが自然だなー。この後二人はどうなるのかな?

 はは、別に興味ないからいいや。

 それにしても一刻も早くここから抜け出さないと。またあんなカップルが来るのはごめんだ。

 雨は一層強くなっていた。

 そう思い、覚悟を決めて走り出そうとした。すると、


 ドーーーン!!


 突然あたりが白く光、全身が痺れた。

 かと思ったら、今度は急に暗くなった。

 何が起こったんだ?とりあえず状況を整理した。

 雨が降ってきて雨宿りをしていたらカップルがきた。カップルが出て行って、俺は走って帰ろうとした。そしたら爆音とともに白く光った。

 まさか雷?

 たしかにあの公園には木はなかった。周りも一軒家ばかりだった。

 だからって公園の屋根に落ちなくても。

 ということは死んだということ?

 まじかーー。

 俺ってこうもあっさり死ぬんだ。俺の中では病院でゆっくり死ぬというプランを考えていたのに。

 残念だ。

 にしてもいま俺はどんな状況?

 手足を動かしても反応しない。けどなぜか見える。黒ばっかりだけどね。

 するとどこからともなく声が聞こえてきた。


 《浜辺康平様、あなたは今死にました。》


 え?!だれ?!


 《私は女神ネイト。あなたはこの世界でこのまま赤子として生まれ変わることができます。》


 あ、どうも。

 それにしても、また赤ちゃんからかー。

 ただ女神は気になる言葉を言った。

「この世界」?どゆこと?


 《あなたの暮らしていた世界は通「ZeroWorldゼロワールド」と呼びます。そしてもう1つの世界、あなたたちの言う異世界は「DimensionWorldディメンションワールド」と呼びます。そしてあなたはその「Dimension World」に生まれ変わることができます。なお、別世界に行くときは姿カタチは変わりますが、記憶はそのまま継承されます。》


 へー、異世界って本当にあるんだ。

 それにしても女神さん英語の発音がすごいですね。


 《…》


 あ、黙った。まあ良いや。

 異世界に行ってみるのも悪くないかな。

 あ、ちなみにだけど、俺ってどうやって死んだの?やっぱり雷?


 《はい、その通りです。あなたはベンチけら出ようとした時雷が落ち、感電死しました。》


 なるほど。

 よし、女神さん。俺異世界に行くよ。


 《承知致しました。それでは「Dimension World」に渡る際の注意事項いくつかいいます。まず…》


 そこから女神ネイトはすごい数の注意事項を言った。要するにまとめると、


 ・異世界に渡る際に俺はなんらかの能力を手に入れる。ただ、それは行って見ないとわからない。

 ・文字や言葉に関しては全て強制的に脳に叩き込まれる。

 ・異世界に行った人は俺一人ではない。

 ・生まれた瞬間から今までの記憶、強制的に叩き込まれた言語が脳にある。


 大雑把に言えばこんな感じだ。

 他にも何か言ってたような気がしたけど、まあいいか。そんなに覚え入れないよ。

 ということで俺は今から異世界に行くことになった。

 すると突然、あたりが明るくなった。

 目の前には美しい女性が立っていた。金髪のロングで整った美しい顔で俺を見て


「それでは康平様、行ってらっしゃいませ。」


 俺は彼女を見た途端に、胸が締め付けられるような感覚になった。一目惚れっていうやつだ。

 女神がこんなに美しいなら俺はずっとここにいたのに。

 なんで今になってかおを出すんだよー。

 俺の体(今は体がないから魂かな?)は少しづつ薄くなっていった。


「昔、私をみると、どこにも行きたくない、と言う方が大勢いらしたので、顔を出すのはお別れの時だけにしたのです。」


 なんて贅沢な悩みだ。

 そりゃこんなに美しかったらどこにも行きたくはないだろうな。

 起こってしまったことは仕方ない。これからの異世界生活を楽しもう。


「はい、そうしてください。」


 と笑顔で言った。

 なんて可愛いんだ。

 そう思いながらも俺は異世界に渡った。

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