第7話

 18時を回った所でユーヤ君がインターホンを鳴らす。


「おぉ、時間通り、スゲェなユーヤ君」

「……」


 オレが玄関ドアを開けた途端、ユーヤ君は目を丸めて呆ける。

何、そのリアクションは。オレは首を傾げる。


「どーしたぁ?」

「! ……ぁ、いえ、何かビックリした!」

「何が?」

「だって いつもジャージだから! ちゃんとした格好、初めて見た!」

「ハ、ハハハ……」


 そぉいやぁ、初対面からオレは上下オソロのジャージで寝癖金髪。

つか、基本 内職ですから、オレの仕事。所詮こんなもんでしょ。

言っても、大人としてはカッコ悪いトコ指摘されちゃったんで、オレは苦笑い。

けれどユーヤ君は、そんなオレをも笑って言う。


「うん。格好良いですよ。バッチリ!」

「そ、そぉ? ハハ。そりゃ良かったぁ~~」


 ヤバイ。過剰に嬉しい。


(オイオイ、だから男だっつの、コイツはぁ……

でもなぁ、この顔に言われちゃうと やっぱテンション上がっちゃうわぁ)


女だったらどんなに良かったかって、そんなコト思うのも申し訳ねぇよな。

ユーヤ君は列記とした男子でさ、チョイチョイ女の子と遊べちゃうくらいのポテンシャル持ってんだから。


 オレはユーヤ君に連れられ、待ち合わせ場所だと言う駅前の居酒屋へ向かう。

道々 擦れ違う通行人は結構なガン見でユーヤ君を見て通り過ぎる。


(男女の対比6:4ってトコか。

男目から見りゃ可愛いくて、女目からみればカワメン男子的な?

見た目がイイってのは、どっち転んでもアリってか。羨ましぃコトぉ)


「合コンってさ、ユーヤ君の お目当ての子とかいんの?」

「特別 決めて無いです。ノリ? みたいな?

でも、誰でも良いってわけじゃありませんよっ、可愛い子が良いのは言うまでもありません!」

「可愛い子かぁ。どんな?」

「癒し系で か弱くて人形みたいな子かなぁ。石神サンは?」

「オレはぁ……」



(ユーヤ君みたいな女の子がいれば1番なんスけどねぇ)



「オジサンでもOKっつぅ、射程範囲 広い子」

「全然 射程範囲ですよ。OGは石神サンと同い年か、上もいるし。

って、石神サン、見た目 抜群に良いですから、絶対 女の子大喜びだから」

「ギャハハ! 年下に煽てられてもぉ~~」

「本当に! 俺、女だったら石神サンに惚れますって!」

「へぇ!!」


 何か、1番イイコト聞いちゃったよね。

オレの煩悩が消化されてくよね、コレ。



(女だったらか……)



 複雑な感情。

確かに、ユーヤ君の見た目はオレの どストライク何だけど、

こぉやって喋ってる男なユーヤ君もオレは だいぶ気に入ってる。

気を使われてるってコトは分かってるけど、照れるでも無く人を褒めちぎれる この子と話すのは超絶楽しい。



(こんな弟いたらイイなぁ)



 そう! 弟だ!! コレ、抜群の着地点だろ!

多少ブラコンこじらせちゃったって方が、男にホレた事実より何ぼか美しいだろ!


 そんな安心感を胸に合コン開場の居酒屋へ。

ココいらじゃ激安で有名な酒場だ。ありがてぇ。

で、入り口を開けるなり、大歓迎で迎えられるからオジサンびっくりだ。


「由也~~オツ~~!」

「由也、待ち草臥れたぞ! 主催者 遅れるとかシッカリせぇ!」

「ハハハ。ごめんごめん。イケメン連れて来たんだから許してくれよ」

「おぉ、ホントだ! ガチのイケメンじゃねぇか!」

「え!? 何々!? ハーフですか!? ヤバイんですけど!!」

「俺らの需要が また下がった~~」

「ヤダぁ、カッコイイ! 流石 由也クンの友達!」

「アタシの隣、空いてますよぉ~~」

「私、私! どうぞ! コッチ座ってください!」

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