第20話 デコボコ

 掌がデコボコしている。

 マメができている。

 こんなもの出来た記憶が無い…


 何もしてこなかったのだな…そう思う。


 一晩で何人もの男に抱かれる風俗嬢達が決まって言う


「綺麗な肌だね…手も足も柔らかくて気持ちいい」


 僕は自分の手足を汚したことが無かったのだと今になって知る


 何だろうな…

 何も考えなくていい作業、そんな日々を繰り返す苦痛が僕を襲う

 不安と絶望

 惨めさと空しさ


『出来る』『出来ない』なんて所詮、自分で決めれるものじゃない


 無能な中年


 それが今の僕


 それを決めるのも僕じゃないんだ。

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