惨祁 ざんげ

桜雪

第1話 痛い…痛い…なぜ痛い

 足が痛む

 重い靴を引きずるように、ただ歩く…荷物を運ぶ

 思考はいらない、むしろ止めていた方が楽になれる


 足の至る所が擦り剥け、水ぶくれは破れ、血と体液が靴下を濡らす

(痛い…痛い…)

 サイレンが鳴るまでの間、休むことなく歩く…ただ歩く…


 サイレンが鳴り、足を止める

 縛り付けられていた床から足を解放する。


(カラスでいい…この身体を浮かせていられるのなら)


 痺れ、熱くなった足の裏、氷でも押し当てれば楽になるのだろうか…


 サイレンが鳴る


 足は再び地に押し付けられる

 自らの体重が負荷となり、痺れ麻痺していた痛みがまた…

(痛い…痛い…)


 わずか10分の休息は、次の2時間に続く布石


 痛みからの解放は、更なる痛みへの序章


 足を引きずり帰路につく…血と体液を洗い流し眠る。


 目覚めれば、また…


 自らの重さが恨めしい

 罪とは…痛みを伴うものだと、今になって知る


 自らの罪の重さが…痛みに変わる


(痛い…痛い…なぜ痛い?)


 オまエノ『罪』ダと…鴉が嗤う

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