向日葵の根

「いいお天気ですね、お庭でお茶にしませんか」

 珍しく、皇后に誘われたのは、弟が帰ってきてから数日後だった。


 皇后が手ずから煎れてくれた紅茶を、軽くスプーンで混ぜる。

 スプーンが銀製だったのは、間違えてそうしたのか、敢えてそうしていたのか、スプーンがわずかに黒ずんだ。

 皇后も、毒味に銀を使うことは知っているはず。

 視線をやれば「美味しいですよ」と、自ら飲んでみせる。


 そうか。

 結婚こそ無理矢理だったものの、息子も生まれ、上手くいっていると思っていたのだが、そうではなかったのだな。

 皇后に決意させたものが何かは知らぬが、その決意に応えよう。


 私は、紅茶を口へと運んだ。

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