第13話 気まずいタイミングでドアをあけられると、男の子は死にたくなる瞬間がある。
長い夜が明け、何とかアリエスを追い払うと、俺は病院の受付の女性から請求書を受け取っていた。
「こ、これは・・・・・。」
「貴方が暴れて壊した物の請求書で~す。 直ぐにお支払いくださ~い。」
壱、十、百、千・・・・・。 とんでもない額の請求書書だ、どう考えても俺だけで払えるような金額じゃない。 別に暴れたのは俺の所為じゃないというのに。 いや待て、大会の賞金を当てれば。
・・・・・まだちょっと足りない気がする。 しかし大半は支払えるはずだ、それで何とか時間を稼ぐ事が出来ればエルとフレーレのタッグ戦の賞金で支払えるかもしれない。 あの二人なら優勝も夢じゃないはずだ、それに賭けるしかない。
「もう少しだけ待ってもらえませんか? 俺優勝してるし、もうすぐ大会の賞金が貰える筈なんです。 それまで待ってもらえませんか?」
「駄目で~す。 今直ぐお支払いくださ~い。」
「いやほんと手持ちがないんで、せめて仲間に連絡を取らせてもらえませんか・・・・・。」
「そうなんですか~? では逃げられない様に、貴方の身柄を拘束させてもらいますね~。」
「な、何をッ!」
受付の女性がパチンッと指をならすと、黒服の男達が、俺の周りに集まって来ている。 そして俺は鉄の手錠を幾つもかけられ、動きを拘束されてしまった。
「お支払いいただけないなら~、体で払ってもらいましょうね~。 ちょっと切ったり抜いたりするだけなので~、命だけは助かると思いますよ~。」
「あの、ちょっと待ってください! 命以外にも色々助けて貰いたいんですが! こ、困ります。 そんな事をされたら、隊長達に怒られてしまいます! 」
「病院の為にお願いしま~す。 貴方に逃げられると病院が大損なんですよ~。 ちょっと切ったり色々抜いたりするだけなので、じゃあ皆さ~ん、例の部屋へ運んであげてくださ~い。」
キメラ化の法は王国の秘密なので、きっとその秘密を解き明かそうとしているのだろう。 このままでは何か良からぬ事をされてしまいそうだ。 何とか彼女を説得をしなければ!
「待ってください、俺は王国から来たお客ですよ?! お客さんに何か有ったら、この国的にも不味いでしょう! 兎に角仲間にだけでも連絡をお願いします!」
「お客さんですか~、本当に~?」
「この俺の目を見てください、この命に賭けても本当です!」
俺は目を逸らさずに、彼女の瞳をジッと見据えている。
「う~ん、じゃあそのお仲間さんの居場所を教えてもらいますよ~。 それに上にも報告しなきゃですね~。 ・・・・・大変そうなんで、聞かなかった事にしたら駄目ですか~?」
「あの! 仲間達の居場所はですね! ・・・・・。」
俺は彼女が諦める前に、大声を出して仲間の居場所を教えた。 それを全部伝えると、黒服の男が仲間を呼びに行ってくれた。 黒服の人感謝します。
「じゃあ他の皆さんは、この人を例の部屋にご案内してくださ~い。」
ガシッと両腕を掴まれ、俺はその部屋へと連行されて行った。 流石に俺も悪いので、抵抗は止めておいた。 そのまま窓の無い小さな部屋に押し込められた俺は、一人この部屋の中へ置き去りにされた。
この部屋の中には何も無く、小さなランプが灯されているだけだった。 隊長が来てくれないと俺は彼女に一体何をされるのか分からない。 俺はジッとそのまま待ち続ける事にした。
しかし暇だ。 何かする事でもあれば良いんだが。 ・・・・・そうだ、閉じ込められたこの場所なら誰にも見られることはない。 なら一度アレを試して見る事にしよう。 アレとはアレだ、俺のチンコが伸び縮みするかの実験をしてみよう。 話を聞いてからどうにも気になってはいたんだ。 早速やってみるとしよう。
俺は自分の下着を下ろし、股間に意識を集中させていく。
「はああああああああああああああああああああああああああッ!」
俺の集中と共に、股間のチン〇が成長を遂げた。 しかしまだだ、俺の力はこんな物じゃない! まだ成長出来るはずだ!
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
全精力を込め、俺のサイズが二倍から三倍へと成り、最終的には天井まで伸び続けた。 まさかこんな事になるとは思わなかったぞ。 全男の夢である、ビックサイズを手に入れる事になるとはな!
「フハハハハハハ、これで俺は最強の男・・・・・。」
バタンッ、っといきなり開いた扉の先に、隊長ではな、エルとフレーレが立って居た。 その二人の女性に、今の俺の姿がどう見えているか、言わなくても分かるだろう。 後に居た黒服達も、俺の姿を見て若干引いていた。
「・・・・・エルちゃん見ちゃ駄目。 これはバールじゃないわ、ただの汚物よ。 解体でもしてもらえば良いんじゃないかしら?」
「・・・・・。」
「こ、これは違うんです! ちょっとした実験をしていただけで、別に見せびらかす積もりじゃなかったんです! 俺を信じてください! それに俺を見捨てると王国的にも不味いでしょ! だからちょっと待って!」
俺は一気に下着を上げると、瞬時にそれを元に戻した。 最早俺の下半身は、俺の意思で自由自在である。 しかしもう二度とやらないでおこう・・・・・。
「・・・・・王国の恥をこの国に捨てて行くのも駄目だわね。 こんな物を助けるのも気が引けるけど、本当に嫌だけどー、私達が我慢するしかないわね。」
「・・・かな・・・しい・・・。」
「助かりました、ありがとうございます!」
二人は途轍もなく嫌な顔をしていたが、こんな汚物を他国に押し付けるのは迷惑が掛かると、タッグ戦の賞金と俺の優勝賞金を合わせて、俺を引き取ってくれた。 賞金があると言う事は、もう優勝したのだろう。
「じゃあ付いて来てー。」
「・・・て。」
そしてまた俺は試合会場へと連れて来られていた。 これから最後の試合である、エキシビジョンマッチを行う為らしい。 よく分からないが、それに俺が参加する事だけは分かった。
「じゃあ私達はこっちだからー、バールはそこで待っててね。 じゃあ、また後でー。」
「え? ああ、はい。」
二人が俺を置いて何処かへ行ってしまった。 此処は舞台に続く通路前、俺はそこで待たされている。 今舞台上では司会者が会場のお客さんを盛り上げている。 俺が到着したと知らせを受けると、選手の名前を読み上げた。
「さて今回のエキシビジョンマッチは、個人戦優勝者バールと、準優勝者アリエスと共に挑むのはああああああああ! タッグ戦優勝チーム、ベリー・エルとフレーレ・フルールだ! さあ全選手の入場です! 盛大な拍手で迎えてください!」
会場から拍手が鳴り響いている。 こんな拍手の中では聞こえないが、後からはコツコツと足音が響いている気がする。 相手はあの二人だ、どう考えても勝ち目がない!
「期待している皆には悪いけど、痛い目に遭わない内に逃げるに限るな。 じゃあサラバ?!」
「お前は何処へ行く?」
逃げ出そうと俺が後ろを振り向くと、俺の顔面をアリエスの掌が掴み上げた。 以外と握力は強いらしい、蟀谷(こめかみ)が痛いし全然放してくれない。
「ちょっと待って、あの二人と戦うなんて無理だから! やめよう、本当に止めよう! あいたたたたた!」
「煩い黙れ。 お前には試合という名の地獄を見せてやろう。」
そしてそのまま引きずられて俺は舞台上に放り投げられた。 その舞台上には、殺気を放つ悪魔が二人立って居た。 そして俺の横には、俺に地獄を見せるというもう一人の悪魔が居る。 どうやら俺の味方は誰も居ないらしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます