花冷えに熱
花冷えの夜に娘が熱を出した。真っ赤な頬に触れたとき、ふわりと記憶が甦る。私にもこんな夜があった。あの母のやさしい手。慈しむ思いが伝わって、安心できた。
撫でる手が止まり、娘がどうしたの? と呼びかける。子供の頃、こうしてもらったのよ、というと不思議そうに瞬きをした。
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