1tweet小説集

和泉瑠璃

たばこの火の一夜

「たばこくれない?」

彼女の言葉に、俺は驚く。こいつの彼氏は、喫煙者というだけて俺を避け、彼女にも吸うなと厳命していたのに。

彼女は苦く笑った。

「私達、別れたんだ」

俺は、彼女のくわえたタバコにライターを寄せた。揺れる火の向こうで瞳が煌めく。

「ねえ、今夜一緒にいて?」

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