第41話 韋昭《いしょう》:正史『三国志』の陰の著者といわれる呉の歴史家

韋昭いしょう韋曜いようともいいます。字は弘嗣こうし

若いときから学問に秀で、太子中庶子として皇太子・孫和に仕えました。


孫和は部下がばくちに夢中になるのを諫めるため、韋昭にばくち批判論である『博奕論』を書かせました。


ところで当時、孫権は孫和以外にも孫覇そんはを優遇し、皇太子のような待遇をあたえていました。

このことから朝廷は孫和派と孫覇派に二分され、内部分裂にまで発展する状況でした(二宮事件)。


結局孫権は両者とも跡継ぎにはせず、孫和を幽閉、孫覇には自害を命じ、孫亮を皇太子に立てることになりました。


孫亮の代では、韋昭は『呉書』の編纂を担当。これが陳寿の正史『三国志』呉書のもとになります。


孫晧の代になると、韋昭はその実直な言動から次第に冷遇されるようになります。

やがて投獄され、呉書の完成を待たずして処刑されてしまいました。


ちなみに拙著『三国志博奕ばくち伝』(文春文庫)の主人公が、この韋昭です。

二宮事件を背景に、巷で繰り広げられる韋昭の戦いを描いた内容。董卓とうたくの孫娘・董白とうはく蔡穎さいえいなど、本邦三国志小説初登場の実在人物も出てきます。

試し読み(https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167911928)もできますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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