進学先は異世界でした~俺の異世界学園生活記
於田縫紀
プロローグ
#0 俺がここに落ち着くまで、もしくは俺の初体験
§1 とりあえずの現状説明
鐘が鳴る音が聞こえた。
今のが
2の
俺は大あくびと共に身体を起こしベッドから出る。
常夜灯になっている魔法ランプのか細い明かりを頼りに窓の木戸を開ける。
今日は晴れのようだ。
空が薄紺から朝の赤色に染まりつつある。
電気や窓ガラスが無くて不便だなと思いつつ、俺は部屋の隅の水場で顔を洗う。
水は当たり前だが冷たい。
でも水道やトイレがあるのは取り敢えずありがたい。
水道は蛇口はなく単なる栓式、トイレもしゃがみ式かつボットン式だけれども。
ついでに言うとトイレが紙で拭くタイプなのも有り難かった。
不浄の手方式だったらと思うと恐ろしい。
まあその時はそれで慣れるしか無いのだろうけれど。
郷に入りては何とやらという奴だ。
気温もそこそこ過ごしやすいのも有り難いかな。
まだ来たばかりだから他の季節があるのかもしれないけれど。
今日から俺の学生生活が始まる。
この異世界の学校での学生生活が。
既に俺の持ち物は服すら全て取り上げられてしまった。
だからもう元の世界の物は何一つ残っていない。
今着ているのも下着から全てこの世界の服。
まあ着心地や布の質そのものは悪くないけれど。
本日は学校1日目。
制服カバン教科書ノート筆記用具全ては学校で受け取ることになっている。
だから今日は手ぶら普段着で時間までに学校に行けばいい。
寮を出て朝食を食べ学校行って、授業なりいろいろやって夕食を食べて帰寮。
それが1日のサイクルのようだ。
なお今俺がいるのが寮の中の一室。
床が高く庇がかなり長い独特の様式の2階建ての長屋作り。
まあこの庇が長い様式はこの国というかこの地方では一般的な作りなのだけれど。
何せ窓ガラスが無く木戸と障子のみ。
だから窓を開けても雨が降り込まないようにとこういう作りなのだろう。
こんな部屋が2階建てで数十件並んでいるのがここの寮だ。
火事になったらと思うと大変怖い。
一応寮内は火気一切が持ち込み禁止になっているけれど。
思えば遠くへ来たもんだ、なんて言ってもしょうが無い。
何せ帰る方法が今のところ無いのだ。
こうやって居場所が出来ただけでも有り難いと思うべきだろう。
既に俺が他の世界にいた事は遠い昔のことだったように思える。
俺がここに来たのは僅か3日前なのに。
昨日は荷馬車で移動後、学校で説明を受けテストを受けて寮に入っただけ。
でもこの世界の初日は色々と強烈だった。
そんな訳であの日の出来事を俺はちょっと思い出してみる。
強烈で違和感たっぷりで目新しくて甘い、僅か2日前の忘れられない記憶を。
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