第2話 強くなるために(前編)
「まずはこれ読んで理解して。」
山の様に積まれた本がリクの目の前に置かれた。
「こ、これ全部ですか?」
目を丸くしながらリクは尋ねる。
「私が教えるのは魔術と戦い方、魔術は知恵もいる。まずは、実践に向けて知恵を磨いて。期限は一週間あげる。それまでに、そこにあるものは全て理解して。」
マナはリクがどこまでできるのかを試していた。
(これをすべて理解するのは、私でも無理。せめて半分ぐらい。リクがどこまで理解できるのか楽み。)
マナは初めてできた弟子に心躍らせていた。
「やって見せます!」
リクは気合を入れ、本を読んでいった。リクは座学にも真剣だった。わからなければ、マナに聞き。マナもそれに真剣に答えた。リクが書物を読み始めてから四日後、
「師匠!終わりました!終わりましたよ!」
リクは満面の笑みを浮かべマナのもとへ駆け寄った。
「えっ!もう終わった?期限までまだ三日もあるよ。それにあの量をたった四日で読理解したの?」
マナは驚きに目を見開いていた。
「理解したよ。魔術も戦い方も。」
リクは目を輝かせていた。
(リクのこんな顔初めて見た。子供らしい笑顔できるんだ。)
マナが初めて見る、リクの無邪気な笑顔だった。
「師匠?」
マナはリクを撫でていた。
「ん。よく頑張った。明日からは、体で覚えてもらう。今日はゆっくり休んで。」
マナは優しい眼差しでリクを撫で続けた。リクも嬉しそうにしていた。その日、リクとマナは二人でゆっくり休んだ。次の日、マナとリクは森の中の不自然に木がない場所にいた。
「ここは師匠が作ったんですか?」
リクは周りを見渡しながら尋ねた。
「そう、魔術でドカーンと。私の訓練場所。」
マナも周りを見渡しながら答えた。
「リク、この石を持って。」
マナはリクに透明に透き通る石を渡した。
「師匠これは?」
リクは石を眺めながら尋ねた。
「私が作った、魔力を測る石。魔力はこの石に色として現れる。魔力の強さクラスはわかってるよね?」
マナはリクへ質問を投げかる。
「弱くてFクラス、そこから順にE、D、C、B、Aクラスまであって、Aクラスを超えるものをSクラスSSクラス、SSSクラスまであります。」
リクは堂々と答えた。
「ん。正解、魔力のクラスは大切で、使える魔術もクラスによって限られてくる。だから魔力の計測は最初にする。」
マナは嬉しそうに、ほほ笑んだ。
「リク、目をつぶって意識を自分の中に集中して。自分の中には魔力がある。それを引き出すの。手に力を集中させて。」
リクはマナの指示に従って、自分の意識を自分の中に落とした。
(何だろうこの感覚、懐かしい感じがするな。もっと深くまでこの力をたどっていけば…)
「主よ、まだ早い。」
意識の奥深く、リクにはしっかりと聞こえた。その途端、リクの意識はクリアとなった。
「何だったんだあれ?でも、魔力は引き出せたと思う。」
引き出した魔力を手の中に集中した。
「リク、もういいよ。」
マナは優しくリクの手を包んだ。
「師匠、どうでしょうか?」
リクは、手の中の石をマナへ見せた。マナはそれを見た瞬間目を見開いた。
「Aクラス、すごい。」
「師匠、Aクラスだとどれぐらいの魔術が使えるんですか?」
リクは疑問の目をマナへ向けた。
「ほとんどの魔術は使える。でも、制御が難しい。強ければ強いほど、制御にも精神を結構使う。まずは、制御から覚えよう。」
マナは優しい眼差しを向け答える。
「わかりました。」
「強化系の魔術で、制御を覚えようか。自分にかける身体強化に強弱をつけて、制御を覚えて。制御しきれないと、身体への負担は結構重いよ。」
リクは、マナの指示に従い、魔力制御の訓練を始めた。身体強化での強弱は、直接身体で覚えるもので、リクはすぐに習得した。リクは、攻撃系の魔術での制御に移っていた。リクは攻撃において、制御するのに苦戦していた。
「リクは、放出系の魔力制御は苦手みたい。あまりオススメしないやり方あるけど、やってみる?」
マナは、あまり気乗りしなかった。
「やりたいです!」
リクは、興味津々に答える。
「放出系の制御をするんじゃなくて、自分自身に制限をつけるの。身体強化を覚えたよね。次は自分の精神に弱くする魔術をかける。制限をつけてる間は、常に魔術を発動している状態で、それも自分自身にかけてるから、身体、精神への負担はとても大きい。それでもやる?」
マナは、不安そうに尋ねた。
「はい!やってみたいです!」
リクは、精神制限を覚え、精神制限を行いながら、攻撃系魔術を何度か発動した。
「え…」
リクの目には周りが歪んだように見えた。リクは深く意識の奥深くへ落ちてしまった。
(暗いなぁ。ここはどこだろう?でも、魔力をたどった時に似てる懐かしい感じ。)
リクは闇深い場所にいた。前も後ろも左も右も何も見えない。でも、リクは、不安も恐怖も抱いていなかった。リク自身それがなぜなのかわからなかった。
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