15章 それから

 それからのこと。


 じょおうさまになったひめさまは、うまれてきたこどもといっしょに、かつてきしとすごしていたもりのいえにきていました。


「ここが、あなたのおとうさんとすごしていたおうちよ」


 こどもにきしとくらしたことをきかせ、ひめさまはいえにわかれをつげました。


 さいごに、もってきたはなをそっとおくと、いえをさりました。


 そのときです。


 ひめさまとこどものまえに、ひとりのおとこがあらわれました。


 くろいよろいとかぶとをみにつけていました。


「あなたは?」


 ひめさまは、おとこにたずねました。


 おとこはだまったまま、かぶとをとりました。


「あなたは……! ああ、きしさま……!」


 おとこはひめさまをさらったたすけたきしおさななじみでした。


「おまえか。りっぱになったな」


 ひめさまはこどもをかかえたまま、きしのもとへとかけつけました。


「ずっと、おまちしておりました……!」


「つらいおもいをさせたな。けれど、もうだいじょうぶだ。そんなおもいは、もうさせない」


 きしはひめさまを、そしてこどもをだきしめると、ちからづよいことばではなしました。

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