肖像


すり抜けるように移りゆく景色を見つめながら、毎夜僕は誰かが人生を変えてくれることを期待している。


誰かが僕のちっぽけな、針穴のような人生に、夢のような色彩を放つという瞬間を教えてくれるはずだったのだと。


もしも人に魂の痕跡があるのなら、見えていることでしか信じたくないのに、見えないものをずっと堅く信じてしまうことがあるように、僕は誰かが人生を変えてくれることを期待していて、それでも景色だけが変わっていき、このくたびれた足は、未だここからうごかない。

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