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    読了しました。ごちゃついた文で申し訳ないですが、感想を書かせていただきます。

    まずエンタメとしてかなり面白い、本であればお金を払って手元に置いておきたいレベルです。(世辞では全くございません)
    二次創作というのは既存のキャラクターや世界を自分流の愛(もしくはこうあっても有りだという願望)を拡張、延長、保管するものであるという考えの下で私は自作を執筆していました。
    ですが、今作は既存の人物は一人しか(しかも最低限にしか)登場させず、原作キャラと繋がりのある人物さえ一人だけ。
    原作に準じた二次創作とは離れたものであったため、読み始めは結構戸惑いました…。
    しかし読み進めるうち、「自分はシュピーゲルを読んでるぞ」という気持ちにいつの間にか切り替わっていたことに気付きました。
    かわいいパッケージにブラック、シニカル、グロテスク、ポリティカルな殻があって、けれどその核には柔らかなで暖かなものが確かにある。のが自分にとってのシュピーゲルシリーズの定義なのかなと思ってまして…。
    その定義において今作は間違いなくシュピーゲルの精神性を継いだものであり、オイレン・スプライトという密接に繋がった二つの柱とは離れた三本目の柱を志向され、成ったのだなと感じます。少なくとも私という一読者からしたらそうです。

    具体的な感想は
    ・大人キャラが良い。
    リーツさんの未熟で駄目なとこだらけだけど努めて大人であろうとする所、今作での一番の成長枠、彼の視点があるだけで読者は安心できます。自陣営の大人たちは必ず好感度上がる要素を含んでるのがとても私好みです。特にテレーザさんはほんと好き。「彼」との関係性の今後が本当に気になります。

    ・ルビ打ちがクール。
    とても冴えていて世界観の没入に一役買っている。見習うべきセンスでございました。

    ・モブ表現に脂がノリまくってる。
    クライマックスの無慈悲な地獄絵図なのにむしろイキイキしてるモブには爆笑させられました。ダイハードおばさんは作者と読者の寵愛を一身に受ける良キャラだと感じます。

    ・感傷的過ぎないちょうど良いウェット表現。
    主人公たち三人の怒りや悲しみやトラウマ、今作では適切な距離感で描かれていたと感じました。(私が書くと湿っぽくし過ぎるので是非に見習います)

    ・シーン単位では、コーラスたる朝霧ちゃんが戦闘で奮戦するところが一番印象的です。キャラクターの厚みが一気に増した、実に素晴らしいシーン。

    ・総合力で勝負している。
    抽象的な感想になりますが、各々とがった要素や時事問題が作品を構成するパーツとして有機的に機能した物語となっていました。これが出来る作家さんは本当につよい。

    おこがましいですが一点だけご意見。
    ・主人公たちの特甲(兵装)がいまひとつ
    本家の魅力のひとつは、特甲の個性だと思っています。特甲は彼・彼女らの人生や精神性をうつす鏡として機能しており、各々の兵装がいつしかその人をその人たらしめている誇りのようなものに昇華されていくことに、私は感情を揺さぶられてきました。
    本作の雪風、信濃、秋月の通常戦闘時の特甲が、彼らとイコールになりづらいと感じました。(特に信濃くんは復活後はフェンシングを元にしたスタイルになると勝手に期待してました。スナイパーが実は近接戦闘員だったというのが私好みなだけですが…)
    彼らの存在の本来の目的(ここは本当に素晴らしい!)との兼ね合いから難しかったのかなとも感じましたが、クライマックスのモブ祭りのカタルシスに対抗するには、ハッタリとケレン味をラストバトルに感じさせるほうがよりに印象的なるかなあと思いました。(あくまでも個人の感想です。あの決着も今作らしくて好きです。

    読むのが遅く、中編以上は日を分けて読みがちな私を釘付けにしてくれました。今作を読んだ時間は私とってこの上ない「得」でございました。

    作者からの返信

    わー!すごい熱量の感想&レビューもありがとうございます。ありがたや!
    そうなんですよ、実はですねー、当初は、サーバーダウンした後、信濃君はライフルを銃剣代わりにフェンシングのスキルで奮闘、って自分も考えていたんです。が、「あれ?サーバーダウンしたら還送する?じゃ、ライフルなくなっちゃう?」とか思い至りまして…でも、その辺に落ちてる鉄骨とかで戦うのもアリだったか…。せっかくの近接戦闘能力の設定が死んじゃってますよね。このあたり、最初にしっかり設計できていない&途中でブレちゃってるというのが出てしまった…3月以降の改稿で検討させていただきます。ご指摘ありがとうございました。
    あと、信濃君とテレーザさんとの関係も、もっとこう、危うい感じの関係にしようと思っていたんですが、実社会で「中学校女性教師と生徒の淫行事件https://sirabee.com/2019/03/07/20162032373/」みたいのがあって、「な、なんか書きにくくなったぞ…」とか思って…ありえないこととして書こうと思っていたのが、現実がフィクションを凌駕してしまうと、しかもそれが犯罪だと、なんとも書きにくいネタになってしまうという…
    そんなこんなで、途中でいろいろブレてしまったので、自分ではまだまだ直したい感じだったりしています。
    なので、ご指摘と感想、大変ありがたいです。嬉しいです。ありがとうございました。