本篇11、学校再見計画

まず初めに、再見は誤字ではありません。それはよく言われるのですがお断りしておきます。

ある事件をきっかけに、「焔」にも登場した通信制高校、松田高校が取り壊しになることになりました。在学していた、生徒の一人茂木鈴花が製鉄所にやってきます。すでに傷ついた彼女を更生させることはできるのでしょうか?

このお話は、学校再建ではなく、学校再見とタイトルを付けました。

それは、学校へ再び行くのではなく、学校から逃げるという意味です。再見は中国語でさようならを意味します。学校へ戻るための物語ではありません。よく、不登校の子が、学校へ戻るために東奔西走するお話が流行っていますが、それとはまったく真逆のお話です。

ちなみに、このお話のキーポイントになるのは、発達障害、ですが、その人たちを何とかしようという取り組みもよく行われていますよね。

でも、それは果たしてそういう人たちにとって心地よいのだろうかと考えると、そうではないような気がしてしまいました。

そういう人たちに対して、もっと自分がこれでよいという自身を持たせてくれるような取り組みならいいのですが、今行われている取り組みは、単に劣等感を植え付けて、社会から排除しようとか、あるいは無理やり社会とかかわらせようとか、そういう感じしか感じられません。

もちろん、自覚を持たせるのは大切ではありますが、そこに劣っているという要素を、付け加えてはいけないと思います。そうなれば、自動的に、悪い人というレッテルが付いてしまいますから、その人たちは、幸せいうものを感じ取ることはできないでしょう。

今の社会、まだ彼ら、彼女たちに居場所を提供してやることは、まだできないのではないかなと思います。

そういうわけで、このお話では、明確な結論はあえて出していません。皆さんなり考えてほしいので、出さなかったのです。

私が書くものは、いつもはっきりとした終わり方をしないので、パッとしないという意見もあると思うけど、現実上そうなっていないのですから、答えを出すことが、できないのだ、ということも伝えたいと思います。

なぜなら、私たちは、異世界の住人ではないからです。

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