第23話 中国(カラオケと広州の強盗)
生前、良い行いをした者は天国に。悪い行いをした者は地獄に。そして中くらいの行いをした者は中国に行くという。
はい。冗談はさておき、今回はそんな中国について書いていきたいと思います。
中国も数えきれないくらい渡航している国ですが、そのほとんどが仕事で行ったものです。皆さんは中国にどんなイメージをお持ちですか?
恐らくですが、なんとくあまり良い印象を持っていない、という方が多いのではないでしょうか。日本に密入国して悪さをする連中がいたり、一部の金持ちが観光で訪日しては爆買いしたり、最近では都心部で中国人を見かけることが多いですよね。中国語の看板も増えてきたように思います。元々日本は鎖国気質がある国ですし、特に中国の文化とは相いれない点が多いことは間違いない。基本的には僕もそのように考えています。
ただ、メディアによって形作られたイメージと実際に行ってみて現地で感じたことは違ったりするのです。僕が中国人と付き合う中で感じたことの中から、最初にいくつかプラスの側面を取り上げてみます。
まず、中国人は非常にもてなし上手。これには“仲良くなったら”という前置きが必要ですが、中国には古くから誠意を持って大切に客をもてなすという文化があるので、食事に誘われた時なんかはびっくりするくらいの歓待を受けます。そして一度友人として認めて貰えさえすれば、困った時は親身になってサポートしてくれます。
それから、一般市民の間では反日感情なんてほとんど無い。南京で日本人がタクシーに乗車拒否された、なんて話も聞いたりしますが、少なくとも僕が仲良くなった中国人達から聞いた限りでは全くといっていいほど無い。反日デモが流行った時期でさえ、あれは中国政府が裏でコントロールしているんだと言っていました。まあ、政治的な話はあまり書くつもりはないので、ここまでにします。
うーん、あと良い点を挙げるとすると、食事が美味しいということですね。やっぱり中華料理は抜群です。僕が住んでいるアメリカと比べると天と地の差。メジャーどころの北京料理や上海料理、激辛の四川料理や湖南料理、各地方にそれぞれの食文化があってどれも美味。中華料理は油を使った料理なので太りますけどね。
そして当たり前ですが、中国という国は途轍もなく大きい。多民族国家ですし、十回や二十回行ったくらいで何がわかるんだと言われれば、仰る通り。なので、あくまで僕個人の意見として読んで頂ければ幸いです。この国は共産党の一党独裁で、日本とは国家運営の仕組み自体がまるで違うのです。
さて、ここからは僕が中国で実際に体験した衝撃的なエピソードを二つ紹介させて頂きます。
【中国のカラオケ】
これは知っている方も多いと思いますが、外国人にとって中国のカラオケと言えば、仲間内で行ってワイワイ楽しく歌を歌う場所ではありません。女の子をお持ち帰りできるキャバクラのような場所だと思って下さい。
まず、入店するとカラオケ設備のある個室に通されます。次に大勢の女の子達が部屋に入ってきます。そこで各自気に入った子を指名すると、その子が自分の席についてくれてお酒を作ったりなどのサービスが始まるのです。もちろんカラオケですので、歌を歌うことも可能。後はお店のマネージャーとの交渉になりますが、お金を支払って指名した子をお持ち帰りすることができます。こうした中国のカラオケは主に接待で使用されますが、お持ち帰りだけを目的に通う日本人も数多くいるのです。
また、都会のカラオケで働く女の子達の中には共産党工作員の人間も紛れ込んでいると言われています。所謂ハニートラップってやつですね。日本の海上自衛官が機密情報を漏洩した事件が記憶に新しいですが、僕はこの事件の舞台となった上海のカラオケ店に行ったことがあります。
中国の南部に東莞(ドンガン)という都市があります。仕事で訪れたのですが、このとき僕が宿泊した高層ホテルの最上階ツーフロアが全部カラオケでした。それはもう信じられないくらいの大きさで、そのお店では300人の女の子が働いているとのことでした。300人ですよ? 下手したら、一つの学校の生徒数と同じ規模です。ちなみにこのお店は入店すると50人単位で女の子が部屋に入ってきて、チェンジと言うと、次の50人がまた部屋に入ってくるそうです。
【広州の強盗】
中国三大都市の一つ、広東省にある広州という都市に通っていた時期がありました。この街の人口はおよそ1300万人。だいたい東京と同じくらいですね。
さて、この広州ではある日を境にバイクの使用が一斉に禁止になったのです。僕はこの法令が施行される直前にちょうど広州に滞在していて、この話題について現地の中国人の仕事仲間とやり取りをしていました。
以下、当時の再現。
「劉さん、来月から広州でバイクが全面禁止なんだってね。まだこんなにバイク走ってるけど、みんなどうするの?」
「どうするもないですよ、みんな捨てます」
「え……捨てちゃうの?」
「はい、20万台くらい捨てるらしいです」
「……そうなんだ。でもバイク屋さんだっていっぱいあるでしょ、どうなるの?」
「潰れるしかないんじゃないですかね、国が決めたことだから仕方ないね」
「うわあ、大変だ。そもそもなんでバイクが禁止になるの?」
「バイク強盗よ。悪い奴らがたくさんバイクに乗って強盗するから禁止になる。危ないから、あまり出歩かない方がいいね」
「え~、それは怖いなあ。荷物をひったくられないように気をつけないと駄目ですね」
「ミトさん、ひったくりじゃないよ。いきなり青龍刀で切られて腕ごと持ってくんだよ」
中国のひったくりには青龍刀で切り付けて腕ごと盗んでいく輩がいるそうなので、皆さんも気をつけて下さいね。
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