第21話 3日目の朝

 設楽は北川の話を 遮ると一番近くに立つ 覚悟をした顔で須田に 両手を出した。

 須田は  急展開についていけていない。


「もしかして 紘くんが行方不明なのも 何かを知ってるの?」

とっさに聞くと ポケットから小さな何かを出して私に渡した。


    カギだ。


 横から入った部長が 設楽に手錠をかけたのを確認すると わたしは家じゅうを探す。



  何の鍵なのか。どういう意味なのか。 庭の倉庫か押し入れかトイレか風呂場か。



 ふと 須田の言葉を反芻した。「奥さんに 2階は 恥ずかしいから 上がらないでね、って言われちゃいましたし。」    

2階だ!


 チームの先輩と階段を駆け上る。扉が3枚見える。一番奥は暗い。が、 あった。おしゃれなこの家に不釣り合いな 大きな南京錠が。これだ。急げ。急げ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る