第16話 2年前 ①
設楽ゆりえのひとり息子の大斗(ひろと)が年少組に入園したばかりの6月。
やっと幼稚園に慣れてきた大斗が久しぶりにおねしょをした。 ゆりえは 思わず声を荒げてしまう。それに加え 昨夜は 午前様だった夫 治が二日酔いの顔でボーっとしている。
今朝もきっと言うだろう 私の一番嫌いな言葉「駅まで車で送って行って。」を。それでなくても朝は戦争なのに。
シーツを洗濯したり 布団を干したりしているうちに 幼稚園のお迎えのバスに乗り遅れてしまう。本当に 踏んだり蹴ったりの朝。
とにかく 早くこの朝を乗り切らなければ。 我が家のメンズたちの口にトーストをくわえさせ 車に乗せる。パパを駅に送った後に 幼稚園だ。
まだ半分夢の中の夫と なぜかご機嫌で戦隊モノのオープニングテーマを熱唱している後ろのチャイルドシートの息子。あーーもう男って子供も大人もみーんな おんなじイライラしながら 信号で停止した。
その瞬間 頭が割れるくらいのクラクションの音。左側から感じた大きな衝撃。
目覚めると真っ白の世界だった。静かだ。・・・車の中じゃない。
次第に意識がはっきりしてきた。 ここは・・病院?
そうか事故にあったんだ。 それから 大斗はどこ。夫はどこ。
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