Grow 〜異世界群像成長譚〜
おっさん。
おはよ。
第1話 少年と目覚め
目を覚ますと僕は
僕の
僕はこの植物を知っている。シダ植物って言うんだ。
でもこんなに大きくなったものは見たことがない。
このような種なのか、
どちらにも
葉をかき分けて周囲を見渡せば、これまた大きな
その
そのような木々が視界に入る限り何処までもひしめき合っていると言うのだから
その姿は何処か
「あれ?なんでこんなところにいるんだっけ」
声に出して意識してみるとあまりにも
そもそも僕は何なのだろう。
体は…人間とさほど変わらないように思える。
身長は低学年の小学生ほどだろうか。髪は黒色をしている。
黒。そうだ、黒い色は
悪魔の色で、呪いの色。そしてママと同じ髪の色。
髪色でいじめられていた僕をママは優しく
頭を撫でて「
だから僕はこの黒髪が大好きだったんだ。
パパはママの黒髪なんて気にしていないようだった。
いつも優しくて、
そんなパパは村を守る
だから僕やママの事を悪く言う人は少なかったし、僕をいじめる様な
そう…あの日までは…。
自身の過去を
それも一匹ではない、二匹三匹と数を増やしていく。
霧のせいか、
少なくとも僕はその接近に全く気付かなかった。
そうだ、そもそも僕はこんなところに立ち止まって過去を振り返っている
なんせ奴らに追われてこんな山奥まで迷い込んでしまったのだから。
すぐにその場を離れる為、
なめられては終わりだ。
僕は
怒らせないように直接は当てずに狼たちの鼻先めがけて投げていく。
それだけで狼達は近づいてこなくなった。
しばらくの間は間合いを取ってこちらを
しかし、それも近づいてくるたびに追い払っていると、他に良い
その結果に驚いている僕がいて、当たり前だと思っている僕もいる。
狼は
特に
まして食べる部位の少ない人間の子どもだ。
割に合わないと
その興味を失ったような
まずは川を目指す。それだけだ。
…なんで川を目指すんだろう。
と言うよりそもそもシダ植物や針葉樹、狼なんて聞いたこともない。
木は木だし、あの
ましてや彼らの生態についてなんて僕が知るわけがない。
これは誰かの
いや、確かに僕の記憶…のはずだ。何かがおかしい。
と、いつの間にやら再び止まりかけている脚に気が付く。
再度、獣や魔物に襲われても笑えない。
僕は考える事を一度やめ“記憶“を頼りに人里を探した。
人里は
獣や魔物の前では僕が
かと言ってむやみやたらと音をたてたり、
しかし、この森で無事に一晩を
僕は急いだ。
急いで、急いで転んでケガをした。
転んだ足元を見てみれば、そこにはしっかりと木の根が見えている。
あれに
針葉樹林はいつの間にやら
完全に不注意だった。
「いっ!」
反省して立ち上がろうとすると、足首に妙な痛みが走った。今度はゆっくり角度を上げていく。
やはり一定の角度まで足首を伸ばすと痛みが走った。
これは
そう簡単には治らないが、ここでこうして倒れこんだままでいるわけにもいかない。
日の
ただ、昼間でも
と、またしても狼が姿を現す。先ほどの個体と同じかは分からない。
が、どちらにしろケガをして弱り切った僕は
早く歩きださなければいけない。
分かってはいるのだが、もう足が動かない。
数日前から何も食べていない腹は
一日中、
それに足も痛い。
「僕が何をしたって言うんだ!悪い事なんて何もしてないのに!ただパパとママと幸せに暮らしたかっただけなのに!それすらも叶わなくて…。
あぁ、もうこれで終わりでも良いのかもしれない。
痛いのもつらいのもこりごりだ。
もう終わりだ。全部終わり。
いいじゃないか、別に、何かやり残したことがあるわけでもなければ希望もない。
きっとこの狼たちは初めに獲物の首を折って楽に殺してくれるだろう。
獲物に
相手が
ひと思いにやってよ。
そう、身を投げ出すと、今までの疲れが
もう指一本動かせる気がしない。
「おやすみ」
目をつぶるとママがそうしてくれたように、自分自身に
安心して眠れるおまじない。
ふと、ママの匂いがした気がした。
柔らかくて暖かい何かが僕を優しく包み込む。
腐葉土のせいだろうか。
それとももう死んでしまったのかもしれない。
…どちらでも良いか。
僕はとても安らかな気持ちで意識を手放した。
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