何処に行くのだろう
@weasel7811
第1話 最悪の目覚め
空が落ちてくる。
そんな気がした。
落ちているのは僕かもしれない。
確かめる術はなかった。
最悪の目覚めだった。
体のあちこちはぶつけている様で痛み、這いつくばっていた足元は小石と泥でぬかるんでおぼつかない。
途方に暮れて空を見上げてみると月は雲で覆い隠され周囲は木々で囲まれており光は差さない。
耳を澄ますと水音が聞こえ、あてのない歩みよりはと向かった。足取りは気持ちを表すかのように重く憂鬱だった。
たどり着いたそこは池だった。いやもしかしたら湖かもしれないが川ではなかった。きっとさっきの音は魚でも跳ねたのだろう、そう納得すると転がった石を避けながら顔についた泥と汗を洗い流すために池辺に近づいた。
水は少し匂うがかまわない。顔を洗い流していると月明かりが差した。
光が辺りを照らした瞬間、動転した。池にはおびただしい数の人が浮いており彼らは池を赤く染め上げていた。
声にならない驚きとともに池から離れようとすると躓いて転んでしまう。さっきまで岩だと思って避けたモノに目があることに気づいてしまった。
これは死体だ
鎧を着た兵士の・・・
顔を洗い清らかな気分は消え失せ代わりに嫌悪感と臭気が全身を包み込むと来た道を足早に引き返す。気持ちはいつしか脅迫観念に代わり速足は駆け足になっていた。
はやく・・・どこかへ・・・
僕は必死に森を駆け抜けた。
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