第22話 北の洞窟第二層

OLFWにログインした。


「さて予定通り鍛冶でもするか。ていうかついさっきまで夜だったんだけどもう朝かなんか変な感じだ」


 さてそれじゃあ道具と鉱石を……


 鉱石全部売ったんだった。




 ◇




 と言うわけでやってきました北の洞窟。

 そういえば直接二層にも行けるんだっけ。


 その前にやっておきたいことが


「【召喚】ナツメ」


 俺は今レベル11だ。つまり


「ナツメ今日はお前の弟か妹を召喚するぞ」


「新しい従魔という事じゃな」


「そういうことだ」


 買った魔石を取り出し握りしめて……今回は魔力操作で魔力を流してみよう何か変化があるかもしれない。


 魔石が光ったところで魔物を召喚する。


「【召喚】」


 魔石が更に輝きだしそこには……


 水色のスライムがいた。


 ちょっと残念だ、スライムと言えば魔物の中で最弱の位置にいる魔物だ。

 いや決めつけるのは速いか? 最近はスライムが主役の話が多いと聞くし、うん戦えなかったとしてもペット枠としていてもらおう。見た目は結構かわいいし。名前はつけてなくてもステータスは見られるようになってるな。



 CNキャラクターネーム:なし

 種族:スライム

 LVレベル:11

 HPヒットポイント:20/20

 MPマジックポイント:100/100

 ――――――――――――――――――

 STR筋力:5

 VIT物理耐久:30

 INT魔法力:10

 MND魔法耐久:20

 AGI速さ:5

 DEX器用:20

 ――――――――――――――――――

 職業:従魔


 ステータスポイント:10


 HPが圧倒的に低い。その代わり耐久はそこそこあるなステータス的には攻撃に向かないのでタンク型だが如何せんHPが低い俺やナツメとは雲泥の差だ。このHPではタンクも任せられない。


 これはやはりペット枠かな、なんて考えていると


「おお、スライムか」


 ナツメがスライムを見て語り出す。


 何でもスライムが弱いのは好戦的ではないため戦うという行為をあまりしないからレベルも上がらない、レベルも上がらないから弱いままと言うことだそうだ。スライムは多種多様な進化を遂げるため最初は弱くても進化することで強くなるかもしれないと言うことらしい。


 そしてスライムの最初の進化条件はレベルが10になることだそうだ。

 あれ? 今レベル11何だけど、進化するそぶり全くないな。


「召喚直後に進化はせんのじゃ恐らく次のレベルアップでするのじゃ」


 なるほど、でも今レベル11って事は俺たちに合わせて召喚されたんだよな。だったら最初っから高いレベルになって召喚すれば良いんじゃ無いか? とナツメに聞くと……


「残念ながらそれはあんまりおすすめしないのじゃ。召喚獣は召喚された時は主と同じレベルじゃがそれは経験値を先取りしているだけなのじゃ」


 分かりやすく言うとこれから倒したモンスターの経験値は全部このスライムに行くそうだ。そしてスライムの経験値でレベル11になったところでようやく俺たちにも経験値が来るようになるらしい。


 つまりしばらくは俺とナツメには経験値が入らないと言うことだ。

 まあそこはどうしようもない、今回はスライムもいるし一層から行くことにしよう。


 このまま行くところだった。いけないいけない名前をつけないと、どうしようか。スラ・ラム・スイ、う~ん……


「ナツメこのスライムの名前どうしようか?」


「こやつの名前か、そうじゃの……ラルミィなんてどうじゃ」


「ラルミィか、うん良いな、よしそれにしよう」


 スライムを見ながら言う。


「お前の名前はラルミィだ。よろしくな」


 スライム……ラルミィはぷるぷる震えている。なんて言ってるかわかんないな。

 あ、そうだ。


「【コネクト】」


「聞こえるか? ラルミィ」


『主、聞こえるよ』


『こちらならラルミィとも会話が出来るのじゃな』


「そうみたいだな。それじゃあ行こうか」


 洞窟内に入る。


 うん、ココは変わってないな。少しプレイヤーが増えたかな?


 プレイヤー達はラルミィ達を見て鼻で笑い、続いて俺を見て顔を引きつらせて離れていく。おかげで戦闘が未だに起きていない。

 困ったな。ラルミィの実力を見ていきたかったんだが。モンスターと出会わない。代わりに採集ポイントにはたくさん合うな。何か最初の時よりも掘れる回数が少ないな。まあいいか今回の本命は二層だ。


 おや、ボス部屋か。もうココに付いたのか。いきなりボス部屋はラルミィには荷が重いだろう。戦闘しないで二層に行こう。


 二層にもプレイヤーはいるようだが一層より数は少ない。これなら戦闘になるだろう。


 二層には何が出るのだろう? ん? なんか音がするな。奥の方か、行ってみよう。

 奥に行くとそこは広場のような開けた空間だった。さっきの音はココから出てたのだろうか? いやこの広場には何もいない、もっと奥か。聞き間違いは……ゲームにそんな概念あるのか?


 広場の中に入るがやはり何もいない。


バサバサ


 音がした、どこからだ? かなり近い。でもこの広場には何もいなかったはず。


「まさか!!」


 上を見上げるそこに……


 大量の中型犬くらいの大きさのコウモリがいた。



 ビックバット LV7



 レベル7なので本来ならどうにかなるが、かなりの量だ、10匹以上いるだろう。


「【クイックチェンジ】タイプ刀」


【クイックチェンジ】で刀を取り出し切り伏せていく。ナツメは心配いらないだろうがラルミィが心配だ。


 とは言えこんなに大量にビックバットがいては探すことすら難しい。

 戦闘中は送還が出来ないし。まずは撲滅するべきだろう。


「ラルミィ大丈夫か?」


『主か、すまんのじゃラルミィを見失った』


 ナツメは大丈夫のようだ。

 ラルミィからの返事はない。

 こんな事なら気配を探っておくべきだった。あれ結構集中力を使うから疲れるんだよな。


 そのあいだもビックバットからの攻撃は続く、体当たりや噛みつきが雨あられのように次々と襲いかかってくる。多少食らってしまうが即座にヒールで回復し刀で切り伏せる。


 メイスで【アースブレイク】をしたい衝動に駆られるがそんなことをしたら間違いなくメイスが壊れるし、空を飛んでいるビックバットに効果かあるとは思えないし、ラルミィかどうなっているか分からないこの状況で使うわけにはいかない……ラルミィってジャンプできるのかな?


 ビックバットの数が大分減ってきた。俺はビックバットに少し攻撃しては躱しまた別のビックバットに少し攻撃しては躱しを繰り返しヘイトを集める。


「ナツメ範囲魔法を使ってくれ、俺ごとで良い。あと火は怖いから水を使ってくれ。ラルミィがいない事を確認してから頼む」


『了解したのじゃ……ゆくぞ主【バブルボム】』


「【ハイヒール】」


 自分にハイヒールを掛ける直前に【バブルボム】が着弾しはじける。もの凄い威力だ。ハイヒールを掛けたのにHPが4割もなくなった。

 そして俺の周りにいたビックバットも【バブルボム】でHPが0になった。


「【ヒール】」


 ヒールを掛けてHPを満タンにする。残りは……天井にぶら下がっている一匹だけだ。


 俺はビックバットに向かって走り出し思いっきり跳びそのまま刀できり伏せようとした瞬間……


「待つのじゃ主!!」


 ナツメの声で切るのをやめ重力に従い落ちていく。そのまま地面に落ち前転したところで起き上がる。


 そして顔を上げると先ほどのビックバットがこっちに飛んでくるところだった。

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