SSS級冒険者から追放された僕はC級冒険者に転職します

ともや先生

プロローグ

「今回の敵も呆気なかったな…」




僕が所属している「黒煙」はA級モンスター「エンシェントドラゴン」を倒し今は町に戻る竜車に乗り、黄昏に浸っている。




A級モンスターとは危険すぎて、誰も討伐しようとしない最強のモンスターの事だ。


その中でも「エンシェントドラゴン」と言うと、南の町アルカナを滅ぼした。狂暴なモンスターだ。




「何がA級モンスターだよな!」




この人は黒煙、前衛剣士のカクトさん。


優れた剣さばきでどんな敵でも圧倒する。




人柄も良く、黒煙のメンバの中で一番素早く皆に指示が出来る。




「あぁ…次はもう少し強いモンスターに挑戦しても良いかも知れないな」




カクトさんと他のメンバー3人がこちらを向く。




ん?皆してどうしたんだ?




何か変なこと僕言ったかな?




「次はもうねぇよ…!」 




「あれ?もしかして聞いてない?」




何を……だ?




「あ、リーダー?うん、うん、分かった今変わるね」




リーダーとの通信手段魔道具「対話鏡」が七色に光る。




すると、対話鏡にリーダーが映る。




「カイルは居るか?」




僕は対話鏡の、前に移動する。




「率直に言う。お前はもう要らない。この黒煙から抜けてくれ」




え?




「いや、僕、何か悪いことしましたか?何か皆に嫌われる事でもしましたか!」




周りにいた仲間に目をやると、全員目を背ける。




「いや、お前は何も悪いことをしていない。だが」




「じゃあ何でですか!」




もうこの黒煙に入ってから約2年が経過している。




2年の間、僕と仲間たちの間には亀裂なんか無かったはずだ。




いや、亀裂どころか一緒に笑い会う仲だったじゃないか!




「どうして……ですか?」




過去に仲間と過ごした日々を思い浮かべると、自然に涙が出てきた。




「お前は優れたプリーストのくせに、回復魔法が一つも使えない足手まといだ。」




「お前の代わりに新しいプリーストを黒煙に入れる。」




新しいプリースト?




「実はな…もうその竜車に乗っている」




奥の扉から人影が映る。




「こんにちは!強い冒険者さん!それと僕の劣化版!」




「っ!誰が劣化版だぁ?調子に乗るのも大概にしろよ!」




「くす…ははははは!」




周りにいる仲間もそれと同時に笑い出す。




こいつらを仲間だと二年間も思っていたなんて、くそ!




くそくそくそ!




「ではカイル君?この竜車から降りてくれる?」




は?このスピードの竜車から降りろと?




もうそれ、死ねって言ってるのと同じ意味だからな?




「早く降りろよ!お前はもういらねぇんだよ!」




さっきまで無言だったカクトさんまで僕を責める。




こんなとこ、降りてやる!




僕は竜車から飛び降りる。




凄い音と共に、地面に転げ落ちた。










「ここは?」




見に覚えがない、天井だ。




さっき起こった事は夢だったのか?




そう思い、僕は自分の体を見ると足には包帯が巻かれ、お腹には針で縫われたような痕がある。




はぁ…




何でだろうな…。




これはSSS級冒険者から追放され、神から与えられた最強スキルでSSS級冒険者を目指すよくある話…。




ではなく




これはSSS級冒険者から追放され、弱いながらもSSS級冒険者を目指す一つの物語である。


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