私は楽しく生きたくて

めのおび

1章 異世界へ

プロローグ

 私は人が嫌いだ。

 人である私自身も、もちろん嫌いだ。

 小さい頃からこうだった訳ではないと思う。

 気付いたら人に対して負の感情しか抱けなくなっていた。なんで嫌いなのか、理由なんてたくさんある。


 自慢じゃないが、私には人の感情とか思ってることが感覚的に分かる。

 詳しく説明してくれと言われてもそれは難しい。ただ、”分かる”だけなのだ。


 例えば、道端で子供に笑いかけている女性。顔は笑っているし、優しい対応に見える。しかし、内心は子供を見下していたり、早くあっちへいけと思っている。

 それが感覚的に分かるのだ。妄想だとか精神病だとか思われるかもしれないが、そうではない…と、思う。 

 人に私が感じた内容が合っているか聞けるわけもないし、そんな度胸も持ち合わせていない。


 こんな体質のせいで、人とする会話は気持ちが悪い。人を見るのが凄く疲れる。


 なんでみんな嘘をつくの。

 なんでみんな他人を罵るの。

 なんでみんなそんなに真っ黒なの。


 この世界は私には生きづらい。独りでは生きていけないこんな世界が生きづらい。



 そんなことを思って生きてきた罰なのか、それとも神が私に与えた救いなのか。

 今はそんなことはどうでもよくなってしまっている。

 


 気付けば私は死を目の前にして、震えていたのだから。

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