第11話 特訓タイム!

 果たして空が飛べるのか。背中に翼は生えているけれど。


 翼に神経が通っている感覚はある。


 試しに、翼を広げようとしてみる。すると腕も一緒に開いてしまった。はばたこうとしてみる。すると腕も一緒に動いてしまうが、



 ふわっ



 と、少し、ほんの少しだけ、つま先が床から浮いた。ジャンプしようとして脚に力を入れたりはしていない。


 浮いた感覚に驚いて、すぐに羽ばたくのをやめてしまって、足が床についてしまう。




 「う…浮いた」


 「浮いたぁ」


 「浮いたナ」



 皆が歓喜の表情でこっちを見つめる。



 「すごーい!浮いたよ!!今度はもっと長くやって見せて!!」



 楓ちゃんが続きを催促してくる。よーし!!



 「てやー!!」



 今度は脚の力も使い、ジャンプをしながら同時に翼を広げ、羽ばたく動作をしてみる。


 ゴンッ。


 勢いよく体は浮き、天井に頭をぶつけてしまった。



 「「「「「「あちゃー」」」」」」



 なかなかコントロールが難しい。スピピちゃんは室内でも器用に飛び回れるのに。まだまだ私は産まれたてのヒナみたいなものって事か。



 「それにしても翼と腕が一緒に動くのはちょっとカッコ悪いかなぁ。別々にはできないの?」


 彩先輩が聞いてくる。



 「それが翼を動かそうとすると、一緒に腕も動いちゃうんだよ。んーと、例えていうなら、足の親指だけを曲げようとしても、全部の指が一緒に曲がっちゃう感じ?感覚が独立してないっていうか」



 「そっかぁ、それはわかりやすい例えだね。私たちも突然腕が6本とかになったりしたら、多分いきなりは使いこなせないものね」


 チャチャちゃんが納得してくれる。



 「阿〇羅バスターなんかも、相当特訓しないとできないんだろうな。そういえば、マンガのキャラをスケッチしたら変身できないかな?」


 楓ちゃんらしい発想だ。



 「試してみてもいいけど、動物って書いてあるから多分ムリだと思うよ……。」


 早速ティティアンノートにア〇ュラマンを描く楓ちゃん。行動が早い。そして、描き終わっても何も起こらなかった。クッキーの件といい、やはり動物でなければダメのようだ。



 「そういえば、みんなは尻尾だけ動かしたりできる??」



 わたしが聞いてみると、みんな尻尾を動かそうとしてみる。ウサギ、ハリネズミ、犬、猫、カワウソとみんな尻尾がついている種族ばかりだ。


 みんなおしりをこっちに向けて、ふりふり、ふりふり。


 一生懸命しっぽだけを動かそうとしているのは分かるものの、いっしょにおしりまでふりふり動いてしまっている。かわいい。


 それからみんなで話し合って出た結論は、



 「人間に付いてない部位は、独立して動かすのに練習が必要」



 というものだった。



 「よーし、それじゃこれから特訓タイムだ!」



 という事で、みんなしっぽや翼を独立して動かす練習をし始めるのでした。


※※※※※※※※※※※※※※


主人公周りの設定ですー。


飛鳥川 鈴(あすかわ りん) 本作の主人公。フォッサ女学院中等部生物部に所属する中学1年生。不思議な本「ティティアンノート」を発見したことから、動物少女に変身できるようになる。

絵が下手なので、ティティアンノートにスケッチを描くのは一苦労。ペットはフクロウのスピックスコノハズク「スピピ」


下連雀 彩(しもれんじゃく あや) 中学2年生、生物部。しっかり者の優しい先輩キャラ。ペットは三毛猫の「マーブル」


燕昇司 楓(えんしょうじ かえで) 中学1年生、生物部。家はネットカフェチェーンを経営している。

昔のマンガなどに詳しい。ペットはウサギのネザーランドドワーフ「キャラメル」


馮 佳佳(フォン チャチャ) 中学1年生、生物部。中国系の女の子。 家は横浜中華街の料理店、「壱弐参菜館」。

料理が得意。お金が好き。ペットはヨツユビハリネズミの「小太郎」


パフィン・アルエット 中学1年生、生物部。外国から来た生徒。飛び級で進学しているため現在10歳。

日本在住5年。好奇心旺盛でツッコミ大好き。ペットはパピヨン犬の「パピ」


飛鳥川 優衣(あすかわ ゆい) 鈴の姉。フォッサ女学院高等部の高校2年生。ちょっと天然の入った性格。


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