第9話 お姉ちゃんよお前もか

 「そんなことが…とても信じられないけど、この変身した楓ちゃんたちを見るとそういう訳にもいかないようね」




 お姉ちゃんが楓ちゃんたちを見回す。




 「そのノートに書きかけのスピピちゃんの絵、それが完成したら、鈴も変身できるのね」




 「うん」




 お姉ちゃんがもうすぐ完成の、スピピちゃんの絵を覗き込んでくる。






 「うん、そしたら実際に変身して見せて!そうしたら信じるし、他の誰にも言わない!」




 「お姉ちゃん…ありがとう…!」






 すっと心が軽くなり、自然と笑顔がこぼれた。




 そうしてわたしは鉛筆を動かし、スピックスコノハズクのスヒピちゃんを描き上げた。




 ノートが宙に浮かび激しく、体が光に包まれる。




 (来た…この感覚!!)




 お姉ちゃんはその様子をびっくりした様子で見ている。そしてまた、自然に言葉が出てくる。






「ティティアンエボリューション・スピックスコノハズク!!」






 光が収まると、私はまた変身していた。頭部はグレーの羽毛に覆われ、背中から生えた羽根、Pコートのような服。まさに人間とフクロウの動物少女といった姿だ。






 「「「「「「おぉー!!!」」」」」」






 楓ちゃんたち四人と、お姉ちゃんが歓声を上げる。




 「本当に……変身した……!!」




 お姉ちゃんが話しかけてくる。




 「まるで手品みたい!かわいい!!みんなもこうやって動物に変身したのね!!」




 ぎゅーっ。お姉ちゃんたちが抱きしめてくる。くるしい。




 「これで信じてくれる?」




 「うん、信じる。でもこのノート、どういう仕組みになってるのかしらね…ちょっと調べてみてもいい??」


 お姉ちゃんがティティアンノートを調べ始める。表紙を見回し、パラパラとページをめくる。1ページ目の説明書きと今まで私たちが動物を描いたページ以外は白紙である。




 「あれ、これは?」




 十何ページかに一ページ、やや紙質の違う部分がある。普通のページが普通の学習用ノートの紙だとしたら、そのページはややざらざらした、和紙のような紙質だ。




 とはいえそれほど気にはならなかったので、特に鈴たちには言わなかった。それよりも、




 「ねえねえ、私もこのノートに絵を描いていい??」




 お姉ちゃんのこの一言が意外だった。



※※※※※※※※※※※※


主人公周りの設定ですー。


飛鳥川 鈴(あすかわ りん) 本作の主人公。フォッサ女学院中等部生物部に所属する中学1年生。不思議な本「ティティアンノート」を発見したことから、動物少女に変身できるようになる。

絵が下手なので、ティティアンノートにスケッチを描くのは一苦労。ペットはフクロウのスピックスコノハズク「スピピ」


下連雀 彩(しもれんじゃく あや) 中学2年生、生物部。しっかり者の優しい先輩キャラ。ペットは三毛猫の「マーブル」


燕昇司 楓(えんしょうじ かえで) 中学1年生、生物部。家はネットカフェチェーンを経営している。

昔のマンガなどに詳しい。ペットはウサギのネザーランドドワーフ「キャラメル」


馮 佳佳(フォン チャチャ) 中学1年生、生物部。中国系の女の子。 家は横浜中華街の料理店、「壱弐参菜館」。

料理が得意。お金が好き。ペットはヨツユビハリネズミの「小太郎」


パフィン・アルエット 中学1年生、生物部。外国から来た生徒。飛び級で進学しているため現在10歳。

日本在住5年。好奇心旺盛でツッコミ大好き。ペットはパピヨン犬の「パピ」


飛鳥川 優衣(あすかわ ゆい) 鈴の姉。フォッサ女学院高等部の高校2年生。ちょっと天然の入った性格。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る