第10話

 のぶくんはにぎっていたサエちゃんのをもう一度いちどしっかりとにぎなおしました。サエちゃんもちかられてのぶくんのにぎかえしてきました。

きみえらいな。さっきからこのにぎってけっしてはなさないもん。」

少年しょうねん半分はんぶん涙目なみだめになりながらいいました。

 「大丈夫だいじょうぶよ、すぐちゅかります。そんなにさきったりしないもん。ただちょっと、たのしかったからっちゃっただけだから。きっとすぐもどってきましゅ。」

サエちゃんが少年しょうねんかっていました。のぶくんははっとしました。

「ほんとに?」

「うん。間違まちがいありまちぇん!」

サエちゃんがちからめていました。

「ボクもそうおもう。」

のぶくんもかおげて少年しょうねんいました。

 「それで、どこではぐれちゃったんですか?」

のぶくんが少年しょうねんきました。

「ああ。この公園こうえんでオレが電線でんせんからまったたこばそうと夢中むちゅうになってるすきにいなくなっちゃったんだ。」

やや元気げんきもどした少年しょうねんがのぶくんにいました。こんどはのぶくんもせたりしませんでした。

 「ね、サエちゃん。サエちゃんがさっきはどこへったんだろうね。」

のぶくんはとなりのサエちゃんにきました。

「うん。あそこらへんにいて、あっちへったから、たぶんこの公園こうえんまわりをぐるっとまわって、あっちからかえってくる。」

サエちゃんは山田やまださんのいえうしろのほうゆびさしました。

 「よしわかった。オレはここでってることにする。バラバラになるわけにはいかないからね。」

少年しょうねんはそううと自転車じてんしゃりてベンチにすわったのでした。

 「すぐかえってきましゅ。じゃあね〜。」

サエちゃんはニコニコかお少年しょうねんはげますとのぶくんのいて公園こうえんました。

 「にいや。サエおなかいた。はやくおじいさんちこ。」

そうやってわらうサエちゃんをのぶくんはとても大切たいせつに感じていました。

 「よし、うたうたいながらこう。」

のぶくんは戦隊せんたいヒーローのうたうたしました。不思議ふしぎ少年しょうねん得意技とくいわざのおかげでかぜはすっかりしずまり、のぶくんの歌声えたごえあらしんだまちながれていきました。

 するとサエちゃんも、オー!だのヤー!だのごえれながら戦隊せんたいヒーローのうたうたしました。所々ところどころ歌詞かしはあやふやでしたが、たのしそうにうたっていました。

 こうしてのぶくんとサエちゃんはおじいさんのいえ到着とうちゃくしました。

 そこにはママがくびながくしてっていました。

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