「沸々」

青い春であった


そぐわない、気息奄々

高嶺の花なんぞ、承知の上であった

嗚呼、探る余地も無かろうに


幾度と、抱えたことか

幾度と、殺したことか


情感を叱咤し、

納め、激励、囃し立て、


そうしたつもりだったのさ


己は墓前にも行けぬ、

脳裏に横切る微笑みは、

痕のように生涯共に暮らすのだ

それで良い、それが良い、


哀しみなんて言葉では片付けられない、

報はいつ時も手遅れだ

足枷は後に外れるのであろうか


騙されたんだ、そうさ

嗚呼、幻想であったのかも知れない

なんて、

総じて、言わずもがな


徒然と、唯茫然と……

並び咲きほこる手前は、

怒りすらも覚えるだろう

果たして、己は報われるのだろうか

光は何処にあると言うのだ


笑っちまうね、単なる嫉妬さ


己は確固たる意志なぞ、

持ち合わせていないのだから


青い春であった


捧げたさ、それでもう、

良かろうに、良かろうに……

燃やしてしまおう、灰にしてしまおう


貴女が背中を押してくれるのならば

闘うさ、負け戦だとしても、

身を削ることになっても、

血反吐を、己の卒塔婆に塗りたくってやるさ


吉報、

貴女はきっと喜こぶだろう


天の国へ想いを載せた文を送りたい、

そんなことが、できたらなあ

なんて、なんてね、


どうか、安らかに穏やかに

いつかまた出逢える日を、

唯々、待ち望んで居る


いつかまた出逢える日を、

あゝ、なんだっけな

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