ー啼ー

それはとうとう沈殿した


捉えられまい手遅れだ

微かに滲んだ記憶も

残る足跡だって改竄した


裸足で軋む廊下を歩くような

刺さる冷たさが染みるような

そうだそうだ

切なくもあったかな、どうだっていいよ


僕は繰り返す


幾年も蓄積して

その容易に消し去ってしまって


想いだとか暖を取るなんて

何も無い己が滑稽で虚しくて

知らないままで、支障もなかった


ドアノブなんか邪魔でいて

壊してしまって

鍵なんて飲み込んでしまって

ここから、後は深く深く潜るんだって

誰にも見つからないところまで


僕は繰り返す

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