第157話 十二番目の給仕長

 今井から、綾香を治療した際の事を追及されそうになった正巳だったが、途中でマムが抱っこをせがんで来たので、マムを抱える事で今井の追及を逃れていた。


 抱えると同時に、マムが手を耳の辺りに当てて来た。


『パパ!』


 マムの行動を不思議に思っていた正巳だったが、不意に聞こえて来た声に驚いた。


『パパ、これは"骨伝導"と言って、骨に振動を伝える事で音を伝えています』


 ……なるほど。しかしなぜ今――


『マスターに、"もし美花が同じ状況に居れば、同じことをするよ"と言って下さい!』


「しかし、それは……」

「正巳君? それで、実際にはどうしたんだい?」


 ぐいぐいと迫る今井さん。

 横に居る綾香も、どうやら状況が理解出来て来たらしく、少し頬を赤らめている。


「――っ、もし美花……今井さんが同じ状況に居ても、同じことをします……よ?」


 危うく"美花"と呼びそうに――いや、呼んでしまったが、マムの言葉通りであれば取り敢えずこれで事態は収まる筈だが……そう言えば、マムは『事態が収まる』って言っていたっけ?


 何となく嫌な予感がしたが、それでもマムは俺達にとって"不利益"となる事はしない筈だ。これ迄ずっとそうだったし、これからもそうだろう。


「そっ、そうかい!?」


 正巳の言葉を聞いた今井さんが、腕を組んで顔を明後日の方向に向けている。


 ……これは、追及を回避できたという事で良いのだろうか。


 正巳が少し安心した所に、マムが更に続けた。


『パパ、さあこのままマスターに求愛の言葉を――』


「今井さん! 俺達――っ?」


 一瞬、マムの言葉に乗せられるところだったが、"求愛の言葉"と言うモノが瞬時に思いつかなかった事が幸いした。もし少しでもそう言った"経験"が有れば、変な事を口走っていたかも知れない。


 変な汗を掻きながら、俺の言葉を待って固まっていた今井さんや、その周囲で息を呑むようにしていたハク爺たちに言った。


「さて、余り子供達を待たせて居るのも可哀想でしょうし、座って、始めましょうか」


 そう言いながら周囲を見回すと、既に着席した子供達と、手際よく運ばれたのだろう前菜がテーブルに並べられていた。


「そ、そうだね。余り待たせても悪いしね!」


 今井さんも俺に同調すると、目の前にある少し大きなテーブルに座った。そのテーブルには純白のクロスが掛けられていた。大きさも、通常サイズのモノと比べかなり大きなもので、一度に13人程が座れるみたいだった。


 一先ず、その場にいたメンバーでテーブルに座った。


 正巳も適当に座ろうとしたが、途中でミューから『こちらの席に』と案内された。ミューに案内された席は、テーブルに置かれた他のイスと違い、幾分か大きかった。


 何となく、"権力"を主張するかのようで嫌だった正巳だったが、そんな正巳の表情を見ていたマムが『マムの席ですね!』と言って座ってしまった。


 すると、それ迄落ち着いて案内していたミューの気配が一変し、その場の空気が数度下がったかのように感じた。


 何となくサナの発する"殺気"に近いものを感じて、関連性を考え始めた正巳だったが、隣で『やはり、ミューも儂が育てたいのう……』と呟いているハク爺の言葉で我に返った。


「そうだな、まあ今回は俺が座っておくが、次回から皆と同じイスにしてくれ」


 正巳がそう言いながらミューの頭を撫でると、それ迄鋭い視線を放っていたミューが、少し慌てながら言った。


「は、はい。その……」


 恐る恐ると言った感じで『その、不愉快でしたら、申し訳ありませんでした』と言うミューに対して、『いや、そんな事は無いさ。ほら、ミューの席はここだろ?』と言って、豪奢なイスの隣に座らせた。


 そして、マムを抱き上げてから椅子に座った。

 マムには小さく『ありがとうな』と言っておいた。


 意外だったのは、サナだった。

 サナは正巳の隣に座らず、ミューの反対隣りに座っていた。


 その疑問は、サナが隣に呼んでいたハクエンの姿を見て、何となく納得した。

 恐らく、サナは良い"遊び相手"を見つけたのだろう。


 サナの隣にハクエン。


 ハクエンの隣にはアキラ、ハク爺、テン、デウ、上原先輩、今井さん、ユミル、綾香、一席空いて正巳の順に座っていた。


 綾香と俺の間の席には、膝の上に座っているマムに座って貰うつもりだ。


 そして、いつの間にか近くに来ていたボス吉は、大型犬ほどの大きさになり、正巳とミューの間に座っていた。


 マム以外が着席すると、マムが『パパ、出番ですよ?』と言って来たので、マムを隣の席に座らせると立ち上がり、周囲をぐるりと見まわした。


 ――どうやら、給仕の子供も皆が着席している様だ。


 それに、少し心配していた"最後に寄った施設の子供達"も一緒に居るらしかった。


 そのテーブル上には、使いやすいデザインの食器類が置かれている。中には食器類を上手に使えない子供も居る筈で、その子達への配慮だろう。


 この子供達は、正巳がユミルと綾香を救出する際に飛び降りた全翼機"ブラック"で、一足先にホテルへと戻って来ていたのだ。


 他の子供に比べると若干栄養不足が見て取れるが、回復はしているみたいだ。回復の成果もあって、今こうしてここに一緒に居れるのだろう。


 近くには、ホテルの職員であるガウスが控えていた。

 恐らく、通訳を含めて子供達に不安が無いようにとの配慮だろう。


 連れて来た子供達に関しては、後で"希望"を聞いておく必要があるだろう。

 場合によっては、半年前の様に故郷へと子供達を送り届ける必要がある。


 もう一点確認しておきたい事があるが、恐らくは答えられるのはザイしか居ないだろう。

 ――後でザイを見つけて聞いておこう。


 一周見渡していると、途中でボス吉が背中に寄り添って来た。

 ……若干大きくなり、腰回りを支えようとしているのが分かる。


 何となく、ボス吉の『戻ってきましたね』という気持ちが伝わって来て、嬉しくなった。


 ――みんな、半年間で随分と表情が変わった。


 少しばかり感傷に浸りそうになって来たので、胸元の集音バッチを右手で叩き、音が拾えている事を確認してから口を開いた。


「明日は拠点を新しい場所へと移す事になる」


 これは、先程マムを通して連絡を受けていた内容だ。本来は今日拠点移動の予定だったが、一旦数人で拠点のチェックをする事になった。


 まあ、事前確認をしてから移動するのが普通だ。どの様な造りになっているのかや、非常時の経路や対応、拠点の設備機能を把握しておく必要がある。


 横で今井さんと上原先輩が頷いているのを見て、何となく("びっくり箱"みたいな施設になっていないと良いな……)と思った。


「明日拠点を移す為にも今日は、その準備をする訳だが……その前に食事だな。お代わりは――ある様だから、落ち着いて食べてくれよ」


 そう言うと、其々のテーブルでお互いに顔を見合わせて、ニコニコしているのが見える。

 ……本当に、自然に笑える子が増えたと思う。


「さあ―― いただきます!」


 何となく、何処かの学校の先生のような気分になって来たが、正巳の言葉に続いて『いただきます!』と言って食べ始めた子供達を見て、学校でも村でも良いか……と思った。


 食事の音頭を取り終わった正巳は、ボス吉の事を撫でながらイスに座った。

 すると、綾香が感心したように言って来た。


「本当に、お兄様は何者ですか? ……武力や資産もそうですが、この子達皆を養ってるって……幾ら世間をあまり知らない私でも、これが普通じゃない事は良く分かりますよ?」


 ここ迄、何かを聞く暇が無かったのだろう。一気に色々と聞いて来たが、そんな綾香に対して正巳が『何者かぁ……』と黙り込むと、反対に居たユミルが言った。


「ゆっくりと自分で確かめれば良いと思います。私もそうする事にしましたので」

「そうだね、正巳君は"普通"じゃないからね!」


 ユミルの言葉に合わせて今井さんが同調した。


 ……今井さんにだけは言われたくなかったが、下手な事を言わない方が良い気がしたので、黙っていた。すると、正面に座っていた上原先輩が苦笑いを向けて来た。


 どうやら、先輩も俺と同じ事を感じたらしい。


 半年間今井さんのそばに居た先輩は、色々と普通じゃない"今井さん"を見て来たのだろう……後で色々聞かせて貰おう。


 先輩と晩酌しながら語り合うのを想像していると、少しの間周囲の人の顔色を見ていたらしい綾香が言った。


「……そうですね、私も"お側で"見て、自分で確かめたいと思います」


 そう言った綾香の言葉に、ハク爺が『そうじゃの、悪い奴は居ないから過ごしやすいしのぅ』と言っていた。


 ……かく言うハク爺は、既に目の前に置かれていた前菜を食べ終え、次の料理に手を付けていた。


「まあ、幾らでもいれば良いさ。それより、早く食べないと勿体ないぞ?」


 見ると、まだ前菜が残っているのは正巳と綾香とミューのみだった。


 サナに至っては、前菜の次に運ばれてきたスープも綺麗に食べ終わり、次のハンバーガーに手を付けている。


 機械で出来ている"機体"のマムも同様に、スープを器用に掬って飲んでいた。……どうやら、課題としていた"食をエネルギーに変換する際の問題"はある程度解決されたらしい。


 そんな様子を見た綾香は、『はい!』と返事をすると、前菜である野菜を食べ始めた。


「ミューもだぞ?」


 隣でこちらを伺っていたミューにも促すと、少し俯いてから言った。


「お兄さんが食べたら……」

「それじゃあ、一緒に食べるか」


「え、一緒にっ?」

「ん?」


「い、いえ。そう望まれるのでしたらっ!」


 それ迄冷静だったミューだったが、何故か取り乱すと、意を決したようにしてイスから立ち上がった。そしてそのまま近づいて来ると――


 ミューは正巳の膝の上に座った。


 一瞬の沈黙と、周囲で交差する視線。


 ……どうしてこうなった。


 途中、ミューがこちらに来る途中でボス吉の事を踏みそうになったのだが、ミューはその事にも気が付いていないらしかった。


 正巳が確認できるのは、ミューのつむじだけだ。


 数秒間思考を巡らせた結果――


「……さあ、食べるか」


 正巳は、目の前にある自分の前菜を手に取ると、ミューの口元に運んだ。


「はむっ……美味しいです」

「そうか……」


「それじゃあ、もう一口……」

「はむっ……美味しいです」


 数回繰り返すと、皿の中が空になった。


 そこで、隣に置いたままになっていたミューの皿に手を伸ばそうとしたが、ホテルの給仕が引き寄せてくれた。


「正巳様、お変わりないようですが――面白い事になっていますね」


 声をかけて来た給仕の事を見ると、その給仕は鈴木――訓練に出た最初の頃に世話になった女性のホテルマンだった。


 鈴木が言っている『面白い事』は、ミューが膝の上に居る事を指しているのだろう。何となく、からかわれたのは分かったが、この際開き直る事にした。


「まあ、そうだな。 ……可愛いだろ?」


 正巳の言葉を聞いたミューは、一度恥ずかしそうにすると、少しだけ頬を膨らませた。そんな様子を見ていた鈴木は、『本当ですね……』としみじみと答えていた。


 その後、ついでに運んで来てくれたスープも受け取りながら他のテーブルを見ると、どうやらホテルの給仕達が総出で動き回っている様だった。


 そんな周囲の様子を見ていると、膝に座っていたミューが言った。


「本当は、給仕の仕事をしているのを見て貰いたかったんですが、先生に『これから幾らでも成果を見て頂く機会はあります。最後の食事くらいは、私達先生があなたたちに実戦で手本を見せます』と言われちゃいまして……」


「……そうか。良い先生達だな」

「はい!」


 ミューが、控えめながらも嬉しそうに言うのを見て、職員達と子供達との間に信頼が築かれているのを感じた。


 その後、正巳はミューと話しながら食事をしていた。


 綾香に関しては、ユミルだけでなく今井さんとも何やら楽しそうに話していたみたいで、食事が済んだ頃にはすっかり打ち解けていた。


 元々綾香が社交的というのも有るのだろうが、ユミルの存在が大きい様だった。


 ……当のユミルは、時折周囲のテーブルの状況を気にしており、その度にホテルの給仕から『寛いで下さいね、もうお客様なんですから』と言われていた。


 そんなこんなで、一先ず食事を食べ終わったところで、ミューが自分の席に戻った。


 ミューが席に座ってから数秒後、ザイがやって来た。


「何か御用は有りますでしょうか」


 この男は、何でこう何でも分かるのだろうか……


「ああ。丁度聞きたいことが有ったんだ」

「何なりと」


「一緒に"施設"から連れて来た子供達が居るだろう?」

「はい」


「あの子達は、国外から連れて来たわけだが、問題にはならないか?」


「……仰っているのが、"入国手続き"の事でしたら、このホテルに居る限りは問題ありません。しかし、もし敷地外へとお連れするのであれば、何らかの対策――治外法権を認めさせる特例や、それに類する手続きが必要でしょう」


 ザイの言葉を聞いた正巳は、脳裏に孤児院を裏で経営していた男の内一人を思い浮かべながら、(近い内に政府と交渉だな)と考えていた。


 ザイは、そんな正巳の様子を見ながら言った。


「とは言っても、現状を考えると既に今更・・だとは思いますが……」


 正巳はザイの言葉を聞きながら、周囲の子供達を見回した。


今更・・か……確かにな」


 子供達の大半が、恐らくは国籍というモノを持っていないだろう。それに、サナやミュー、テンなんかはそもそもが他の国の出身であり、大使館の地下から奪って来た子達だ。


 今回『子供達を国外から連れて来た』とは言っても、地理的な違いがあるだけで、境遇は変わりないのだ。そう考えてみて、何方にせよ"交渉"は早めに済ませるべきだなと言う結論に至った。


 その後、政府と交渉する際のこちらのカードと、政府側から得るモノを考えていた正巳だったが、その様子を少し後ろで見ていたザイは、小さく呟いていた。


「……正巳様であれば、如何とでもしてしまいそうですね」


 意識しないザイの呟きでは有ったが、たまたま近くで給仕していた鈴木は、『私もそう思います』と小さく同意したのだった。



 ――――

 その後、食後のティータイムが始まったのと同時に、今井さんが『さて、恒例の"上映会"を始めるよ!』と言い出した。


 何となく嫌な予感がした正巳は、会場の灯りが落とされたタイミングで、気配を最大限まで消すと、会場後方へと移動した。


 移動した所で、今井さんが床に置いていたアタッシュケースの様なモノを操作した。


 すると、その瞬間に小さな霧状のモノが真っすぐに噴出した。


 ……可能な限りに目を凝らすと、その霧状のモノは、とても小さな機械という事が分かった。


 どうやら、微細サイズの機械を空中に噴出したらしかった。


 周囲の子供の様子を見ると、驚いているのは俺と一緒に行動していたサナやユミル、それに綾香や連れて来た子供達だけの様だった。


 先程今井さんは『恒例の』と言っていたが、それなりに見慣れた光景なのだろう。


 そのまま様子を伺っていると、次第に宙に光の球が出来始めていた。


 そして、その球が形を変えると、一つの形を取った。


「ブラックか……」


 そう、それは見間違う筈が無い、正巳達の専用機だった全翼機"ブラック"だった。

 驚いていると、ナレーションも始まった。


『一行は、悪の根城である組織を壊滅させた後、新たな目的地へと向かっていた――』


 ……良い声だ。恐らく、マムがネット上からサンプリングして来た声なのだろう。その声は、絶えず微細機械が出入りしているアタッシュケースから発されていた。


 恐らくは、アタッシュケースが"充電器"兼"スピーカー"になっているのだろう。


 それにしても、微細な機械で宙に絵を描き出して、3Dでの上映を可能にするとは……


 本来であれば驚きの余り言葉を失う所なのだろうが、マムの様な食事する機体AIを目にしているせいで、目を見張る程度で済み、それ程衝撃は受けなかった。


 綾香などは、口をポカーンと空けて驚いていたが……


 確かに3Dで表示できるというのは、施設制圧時や市街戦などの際に"敵勢力の視覚的把握"に役立つだろう。しかし、それは飽くまでも"改善"であり、根本が覆る様なモノではない。


 その点では、自己学習システムにて自我の有る"マム"は、恐るべき存在なのだろう。ザイがマムに対応する際の態度は、慎重に慎重を重ねた対応に見える。


 ――

 その後、上映されている内容を見ていると、着陸したブラックから仮面の男と小さな少女を先頭に、数人の者達が出て来た。


 どうやら、子供達を施設から救出した際の事を映しているらしい。


 途中、端の方のテーブルの子供達が何やら興奮していたので、通信装置である"イモ吉"を耳に取り付け、マムに翻訳を頼んだ。すると、『あれ、ぼくだよ!』とか『わたしがいる!』とか言っているのだと分かった。


 どうやら子供達は、"映画"の中に自分達が出ている事に興奮していたらしい。


 その後も暫く見ていたが、マムの編集の仕方が上手いのか、何処を切り取っても正巳が良い角度で映し出されていた。


 何となく恥ずかしくなって来た正巳は、見つからないように密かに会場から抜け出していた。


 上手く抜け出せた正巳は、小さく言った。


「耐えられないだろ、あんなの……」


 ありとあらゆる拷問痛みを受けた経験のある正巳だったが、今最も耐えがたい拷問は、自らの活躍を納めた映像を見せられる事だった。


 火照った頬に手を当てて冷ましながら、自分の部屋へと向かっていた。


 久しぶりのホテルの部屋だったが、耳に付けた"イモ吉"を通してマムから誘導して貰い、無事に戻って来れていた。


 部屋へ入ると、ふと何か生き物の"気配"を感じた。慌てる事なく気配を再度完全に消した正巳は、そのまま気配の方へと近づいて行った。


 その"気配"は、リビングのソファーに在った。


 ソファーの上には、先程見たのと同じく空中への3D投影がされていた。その投影されているモノは、綺麗な六角形をしていて、幾つかの層になっている様だった。


 それらは何かの"施設"の様だったが、ソファーの向こうから伸びた指が施設へと伸びると、投影された映像を動かしながら・・・・・・言った。


「そうですねぇ、やっぱり武装部隊が30名迄の場合は圧殺が効率的なんですねぇ、となると、この場合はマムちゃんの言っていた様に施設自体を……いや、でもそれだと『すぷらった』はやだとみゅーに言われちゃうしぃ……」


 その声は、透き通るような声だったが、何となく幼さ・・を含んだモノだった。


 それ迄はどうしたものかと迷っていた正巳だったが、その呟きを聞いた瞬間、全てがクリアになった気がした。


 驚かさない様に最大の注意を払いながら近づいた正巳は、声を掛けた。


「始めましてかな? 十二番目の給仕長さん」


 正巳の言葉が聞こえたのか聞こえて無いのか、フリーズしていたその子は、一瞬の間があってから気を失った。

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