第141話 スパイ・フォール

 途中、上空を照らすサーチライトの光や、発進して行く戦闘機が見えた。しかし少しすると、マムから『邪魔なものは切っておきました』と報告があった。


 そして、その言葉通り、サーチライトの光や、発進する戦闘機がピタリと止んだ。戦闘機に関しては、マムが止めたというよりは、発進後に操縦不能になる事から、発進を控えたのだろう。


 上空を見ると、一筋の光が綺麗な輪を描いて見えるが……恐らく、マムがコントロールを奪った戦闘機の光が、見えているのだろう。


 ……マムに任せれば『航空ショー大成功間違いなし』だ。


 そんな風に、上空の事も確認しながら、先に停車したバギーの横に止めた。


 すると、横に乗っていた王子が先にバギーを降りた。その様子を伺っていると、マムから『ちょっと面倒になりそうなので、基地内を明るくしておきますね』と通信があった。


 ……状況は全く分からなかったが、『ああ、やってくれ』と言うと、『はい、パパ!』と返事があり、直ぐにここからでも分かるくらいの変化があった。


 ……基地に存在するあらゆる施設が、煌々と光を放っている。


 元々光を漏らさない様に出来ている筈だが、余程強く光を放っているのだろう。ここから見ると、ちょっとした都市の"夜景"にすら見える。


 そんな"夜景"を眺めながら、バギーを降りた。

 すると、先に降りていた兵士達が近づいて来る。


「彼方に、座れる場所がありますので……」


 緑ベレーの女兵士、ライラだ。

 丁寧な口調なのは、王子が近くに居るからだろう。


「ここで良いのか?」

「ええ、ここであれば追手が来ても、いち早く把握できます。それに、ほら……」


 ライラが指したのは、基地の方角だ。


「ココなら、基地全体が見渡せるという訳か」

「はい……あなたは何で、王子にあんなくちょ――」


 正巳は、ライラの言葉に話半分で頷きながら、改めて周囲を見渡した。

 今居る場所は、ちょっとした丘の上だ。


 ここなら、基地の動きが良く見える。その様子を確認してから頷くと、先に他の兵に座って話せる場所に、向かっておいて貰う様に言っておいた。


 ライラ以外の、三人の兵士が歩いて行った。


 それにしても……


「なあ、ずっと一人でスパイしてたのか?」


 ライラは、『使える立場でありながら、主に対してあのような態度は……』等と話していたが、話を切る様に問いかけると、不満げな様子ながらも答えて来た。


「え? ……ええ、一応"念の為"でしたので。それが、まさか本当に――」


 ……流石に、謂れのない理由で、何時までも小言を聞いている趣味は無い。


「『本当に、クーデターの準備をしているとは思わなかった』か?」

「ええ。その、首謀者が余りにもあり得ない人であると云うか……」


 どうやら、ライラの小言は回避できたようなので、そのまま話を聞く事にした。


「あり得ない?」

「ええ、将軍は私にとっては恩人で……しかも、賛同している中佐達の事もよく承知していたので……そんな人達がまさか……」


「まさか、『クーデターをするとは思わない』か」

「はい……」


 どうやら、クーデターの首謀者であるバラキオス将軍は、この女兵士の恩人らしい。それに、中佐3名とも顔見知りとなると、色々と思う所もあるのだろう。


「……お前は、将軍について行こうとは、思わなかったのか?」

「思いません……国を支えているのは、国王であり、国王を守護する兵士としての誇りがありますから。それに、この誇りは受け継いで来たものですので……」


 そう言った後で、若干目を伏せている。


 まだ確定した訳でない為、はっきりは言えないが、マムによれば『将軍は利用されただけ』という事だった。いずれ、その事も公になり、ライラの心配も晴れるだろう。


 ただ、それを部外者である俺が言う事は、相応しくないだろう。

 だから――


「そうか……まぁ、間違いを正すのも後を走る者の務めだ」

「……はい」


 小さく頷いたが、その瞳は揺らいでいる様だった。


 その様子を見ながら、(早めに俺の誤解も解いておいた方が良いよな)と考えていた。恐らく、ライラは俺達の事を同じ"スパイ"だと思っているだろうから……


 ライラに話しかけようとした正巳だったが――


「なぁ、今言っていた『クーデター』とは何のことだ?」


 ……王子がそこに居た。


 まあ、そこに居たも何も、数歩の距離に居れば、嫌でも聞こえるだろう。


 丁度良かったので、クーデターの事に加えて、今持っている情報や自分達の事を話してしまう事にした。この後ブラックが着陸できる状態になり次第、どうせここから離れるのだ。


 置き土産としては、丁度良いだろう。


「ああ、その事については俺が説明するが……その前に自己紹介だな」


 そう言いながら、サナと綾香に声を掛けた。


 すると、それ迄空を眺めたり、基地の方を見ていた二人だったが、直ぐ隣に来た。……ボス吉は、相変わらずサナに抱っこされている。


「俺は、国岡正巳だ。スパイでは無い。隣に居るのはサナ、その隣は綾香……猫はボス吉だ。俺達は、帰る為の飛行機に乗りに来た。自体が収拾出来次第、機体に乗って帰る」


 そう言って、『よろしく』と言うと、王子は『"スパイではない"か、面白い自己紹介だな』と言いながら、手を出して来た。


 ……先程、王子には身の上話をしている。

 その為、俺がスパイなどでは無い事は分かっていた様だ。


 その手を握ると、王子は一言だけ『グルハ王国、第一王子のアブドラ・ジ・グルハだ』と言って来た。王子の言葉に、『敬語の方がよろしいですか?』と言うと、『今更だな』と笑って返された。


 その後、王子によって一人一人紹介されたが、女兵士ライラが紹介された時だけは、少し様子が変わった。……どうやら、ライラは王子のお気に入りらしい。


 何やら、『少し抜けているが、可愛い所がある~』等と言っているが、言われたライラの方は赤面している。……ただ、赤面しながらも、こちらを意味深げな目で睨んでいる。


 ライラは、俺の言った『スパイでは無い』の意味を知りたいのだろう。

 まあ、知りたいも何も、言葉の通りなのだが……


 そんな事を考えながら、若干苦笑いしていると、王子が話しかけて来た。


「お主……なあ、お前って呼んでも良いか?」

「……問題ない。普段通りに話してくれて構わない」


 そもそも、こちらが敬語すら使っていないのだ。

 王子も、好きに話したら良いと思う。


「そうか、それじゃあ早速"クーデター"について教えてくれ」

「分かった。ただ、その前に……良いか?」


 クーデターの事を聞いて来た王子に、『先にライラに説明をさせて貰う』という趣旨で、ライラの方を向くと、『構わない』と答えて来たので、ライラの誤解から解く事にした。


 ……いや、この場合は『ケア』と言った方が、良いかも知れない。


 真面目なライラの事だ、『機密をベラベラと話した私は、万死に~』なんて事になりかねない。俺に恨みが向いている内に、対処するのが良いだろう。


 一息吸うと、こちらを相変わらずにらんでいたライラに、話しかけた。

 ……睨んでいる様に見えるが、これはライラなりの強がりなのかも知れない。


「俺が、内部の情報に通じているのを見て、勘違いしたのだろうが……俺には優秀な仲間がいてな、多少の情報は直ぐに手に入るんだ。それに、見たかは分からないが、ここに来ていた全翼機は俺の持ちモノなんだ。それに乗る為に立ち寄っただけなんだ……余計な誤解をさせて悪かった。まさか、スパイが居るとは思わなかったんだ」


 そう言って、ライラに頭を下げる。

 すると、それ迄キッとこちらを睨んでいたライラだったが……


「そ、そうです! そもそも、貴方があんなに意味深げなタイミングで、さも全て知ってる風に来なければ…………なんては言えませんね……すみませんでした」


「あ、ああ、いや……まぁ、お互い様だな」


 若干、仮面が変形する振動がある。


「……! いえ、全面的に私の勘違いですので!」


 テンパったように見えるライラが、急にその腰に付けていた拳銃を抜くと、その銃を正面から・・・・自分の額目がけて抜いた。


 その様子を、俯瞰的に見ていた俺は直ぐに状況が分かった。

 しかし、王子には"ライラが血迷った"としか映っていらかったようで――


「おいっ、ライラ!」


 王子が、叫んだ。

 しかし――


『"パンッ!"』


 小さな火花が散った瞬間、乾いた銃声が鳴り渡った。


 ……横で反応していたサナと、その腕の中のボス吉は、正巳が片手で抑えていた為、対処しなかった。これは何も"拳銃を持ったライラを止めようとした"ふたりを、止めていた訳では無い。


 サナとボス吉は、その背後の気配――殺気に反応していたのだ。


 しかし、下手に動いてふたりが傷付いては面白くない。

 だからこそ、ライラの射線・・・・・に入らないように抑えていたのだ。


 そして、その結果――


「うぐぁ?! 何でわがっだ……」


 ライラが、自分の頭越しに打った二発の銃弾が、後ろに居た兵士の肩を撃ち抜いていた。


 ……硬い音を立てて、25~30cm程のナイフと、一丁の拳銃が落ちる。


「拘束しておけ!」

「「ハッツ!」」


 ライラが言うまで呆然としていた二人の兵士が、蹲っている兵士を取り押さえている。片方の兵士が武装解除させ、片方の兵士は拘束具を絞めている。……拘束の仕方も、情けを掛けずにぎっちりと縛っている様だ。


 その様子を見て安心すると、目の前で減った分の弾丸を、充填しているライラに声を掛けた。……特に動揺なども無く、落ち着いて見える。


「……腕が良いみたいだな」

「ありがとうございます……その、お陰で助かりました」


「いや、お前の腕があっての話だろう。それに、"射撃の名手"と云うのは伊達では無いみたいだな」

「そんな事まで知ってるんですか……」


 先ほど、いち早くその気配を感じた正巳は、行動を取ろうとした。しかし、位置的な関係から、どうしてもライラが障害になって、誰かが傷付くのを避けられなかった。


 しかし、状況を一歩遅れて把握したマムが、正巳に『仮面の一部を鏡面にして、撃たせます』と言って来たのだ。……それ迄知らなかったが、『"射撃の名手"』であると云うマムからの推薦もあり、任せる事にした。


 その結果が目の前にある。


「『知っている』か……優秀な仲間が居るからな。それにしても、護衛の兵士は"叩き上げ"だったと思ったんだが?」


 マムに最初に調べて貰ったタイミングでは、兵士の経歴は至ってクリーンだった。それが、二度目に"スパイ"について調べて貰った際に、色々と見つかった。


 ……そう、スパイはライラだけでは無かったのだ。


 しかも、王族のスパイとしてのライラに加え、軍からのスパイとして、もう一人入り込んでいた。五人の内一人は王子、一人は王家からのスパイ、一人は軍部からのスパイ。残った二人は、特殊部隊上がりで、叩き上げの軍人。


 正直、この事を知った時には、面倒な予感しかなかった。


 と云うのも、スパイである兵士が、実力行使に出てくれれば、分かり易くて助かるのだ。しかし、もし大人しく情報収集のみをしていた場合、スパイである現行犯として晒す事が難しい。


 だからこそ、ある意味では、ラッキーだった。


「ええっと、アブドラ、いやアブドラ王子……王子?」

「ああ、俺の事はアブドラで良い。それに、一瞬心臓が止まると思ったが……ハサンは、スパイだったのか?」


「そうだ。どうやら、ライラか王子の何方かを害すれば良い、と思ったみたいだがな……」


 『その結果だ』と言いながら、拘束されている兵士――スパイ、ハサンを指差す。


「そうか、一応それなりの時間を、共にしたんだがな……」


 言いながら、スパイだったハサンの横に歩いて行く。


「……ハサンよ、何故裏切った?」

「何故、だと?!」


 ハサンが、地面に顔を押し付けられながらも、言葉を絞り出す。


「元はと言えば、お前が裏切たんだろう……グっ」

「俺が裏切った?」


「そうだ、お前が将軍を害したんだ!」

「……俺が、将軍を?」


 呆気にとられた様子だったアブドラ王子は、制止する兵士に構わず、ハサンを持ち上げた。そして、底冷えするような声で言った。


「どういう事だ」

「え、いや、だから……アブドラ王子が、バラキオス将軍の事を――」


「俺はな、バラキオスには恩があるんだ……それこそ、父親のようにも思ってる。そもそも、好きに生きるようにと勧めてくれたのもバラキオスだ。それを貴様は汚すかぁッ!」

「ひっ!」


 王子が息を荒くして、歯を喰いしばり……さながら一匹の獣の様になっている。


 特別切れやすい訳では無いと思う。

 恐らく、王子の逆鱗に触れる内容だったのだろう。


 そんな様子を見ながら、ライラに横目で割って入る様に促した。

 ……このままだと、ハサンの身が危ない。


 その後、王子を宥めに入ったライラの様子を見ながら、何か、ボタンを掛け違えているような、違和感の原因を探していた。


「……そもそも、将軍はクーデターを起こす理由が無く、王からは信頼を置かれていた。それに、部下からは絶大な忠誠心と、敬愛を集め、それは王の子であっても同じだった……か」


 ……そんな風に独り言を呟いていたら、隣にいた綾香が、何だかウキウキとして言った。


「お兄様、何だか"大魔王人ノブナガ計画!"みたいですね!」

「だいまおう……なんだ、それは?」


「高校生の間で流行っていた、戦略型シミュレートゲームです!」

「……内容は?」


「はい。ノブナガの側近となって、裏であれこれ動いて、ノブナガに天下を取らせるというゲームですね! しかも、このゲームが面白いと云うか、酷いのは、結構何でもありで……――」


 綾香が言うには、"大魔王人ノブナガ計画!"というゲームでは、裏で暗躍して天下を取り、その後にノブナガを暗殺して、自分がノブナガの座にすり替わるのが王道らしい。


 その他にも、途中でノブナガを殺してしまい、ノブナガを病気という事にしてから、ノブナガの名を語って、天下を狙うルートもあると云う事だった。


 ……確かに、酷いゲームだ。


 しかし――


「……もしかすると、当たりかも知れないな」


 そう呟いた正巳に、綾香が『当たり、ですか?』と聞いて来たので『まあ、そうだな……後で美味しいデザートでも食べに連れて行ってやる』と言っておいた。


 正巳の言葉を聞いた綾香は、サナに喜びを分かち合いに行った。その様子を確認して、何かがあったら、サナが綾香を守るだろうから問題無い、と判断した。


 ……どうやら綾香の話を聞いている間に、ライラと二人の兵士で、王子を宥めていたらしい。そこには、幾分か落ち着いた様子の王子が居た。


 ……その拳は、固く握りしめられていたが。


 そんな様子を確認しながら、マムにある事を調べるように言っていた。


「マム、ログを調べてくれ。これ迄に基地に入ったログと出たログだ。対象は――」


 ――


 その後、3分程ハサンの事を尋問していた。


 尋問の中心になった内容は、ハサンの持っていた"拳銃"の出処を中心とした話だった。


 ハサンの持っていた拳銃には見覚えがあった。


 グリップ部分に、豆を親指と人差し指で摘まんだデザインの刻印がある。


 ……これ迄、世界各国の犯罪組織で、構成員が持っていた物だ。


 "シード"とか"顔無しノーフェイス"等と呼ばれている組織だ。


 ある程度尋問をしたが、どうやらこの兵士は只の駒の一つだったらしい。

 ……凡そ重要な情報は、何一つ持っていなかった。


 しかし、今回のクーデターに関して言えば、決定的な事も知っていた。


 予想した通り、クーデターを首謀したのは、大佐である"ムスタファ・アル・リファール"その人だった。ハサン自身も大佐から、『王子が将軍を裏で害した為、現在は身を潜めて療養している』と聞いていたらしかった。


 ここ迄すっきりとターゲットが絞れると、この後の方針も取り易くて有難い。


 ――その後。


 尋問が終わりかけたところで、マムからの報告が有った。


「……という事で、ほぼ間違いなく基地局地下に。ただ、生死は確認出来ませんでしたが」


 どうやら、予想した通りのデータが見つかったらしい。

 後は、状況だけ整えれば良いだろう。


 マムの報告を聞いた後で、礼を言った。


「――ああ、分かった。それでは間違いないな……ありがとう」


 突然、独り言を言い始めた正巳に、王子やライラ達が一瞬驚いていたが、『通信が入った』と言ったら、納得していた。


 ……王子の滾る様な怒りは、既に表からは消えていた。

 その代わりに、内に燃えている様では有るが……


「アブドラ、これはお前達の問題だ。お前たちの中で解決するべきだろう」


 そう言うと、少し寂しそうな表情をしながらも、アブドラは頷いて来たが、隣のライラは何か言いたそうだ。


 まあ、今回に関しては、今の前振りは飽くまでも、互いの立場を明確にするための前振りだ。少し前までは、王子達に任せて俺達は帰還しようと思っていた。


 しかし、組織のシンボルの入った拳銃を見つけた以上、そう云う訳にも行かなくなった。ここには、例の組織"ノーフェイス"の手がかりが有るかも知れないのだ。


 ……これで、全ての状況は整った。


 後は、ちょっとした子芝居をするだけだ。

 意味深げに咳をしてから、話しかける。


「ゴホン――とは言っても、これも何かの縁だしな……」


 一瞬言葉を途切って、アブドラ、それにライラと兵士達、そしてハサンの事を見る。……ハサンは、どうやら自分が騙されていた事に気が付いたらしく、噛みしめた口元から血が滲んでいた。


 その様子を見た後で、サナと綾香、ボス吉に目を向けた。

 すでに、皆からは了解を取っている。


 ……先ほど尋問の途中で、『少しより道をする』と話をしたのだ。それに対して、サナとボス吉は『暴れる!』と答えていた。


 ただ、綾香に関しては少し不安げだった。当然、訓練した経験も無く、実戦経験のない綾香を連れて行くつもりは無かった。綾香は途中で、安全な場所に保護しておく予定なのだ。


「俺に依頼をしないか?」


 正巳がそう言うと、王子は一瞬驚いた顔をしたが、こちらの立場を察したのだろう。


 直ぐに、差し出した手を握ると、言って来た。


「是非頼む。いや、ここはこうか……我アブドラ・ジ・グルハが"王子"として依頼する。我が国家の危機であるクーデターの鎮圧に、力を貸して欲しい。ここに居る全員が証人である」


 一応、映像としても録画をしているが……アブドラであれば、その心配は無いだろう。


 正式に出された依頼を、交わした手を固く握る事で返事した。


「その結末を持って、受けよう」


 正巳の答えに、直ぐには反応しなかった。しかし、やがてその意味を理解したのか、腕を引き寄せると、抱擁した状態で言った。


「わが友よ」


 若干、力が入り過ぎなアブドラに苦笑しながら『依頼だからな』と答えたのだった。



 ――正巳が言った言葉は『自体が収束するまでは、決して任を離れない』という意味の言葉であった。本来、長期戦になる事を見越しての発言になるのだが、既に下調べを済ませていた正巳は、"舞台が整っている現状"であれば、直ぐに事態を終結できると判断したのだった。


 ポイントとなるのは、巨大な影響力を持つ人物……つまり、将軍・・の所在だった。

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