「君に恋をしていたのかもしれない」

 蝉が鳴いた。茹だるような気温。陽炎が揺らめく。僕はふと、そんなあの夏の日を思い出した。

 アスファルトをなぞった。あなたの思い出がここに。

 指先が赤くなる。熱い、触れない。もう君はいない。

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