第11話 GOSICK シリーズ 桜庭一樹

 GOSCIKシリーズは、桜庭一樹さんによる全9巻の長編作品です。

 物語の舞台は20世紀初頭のソヴュール王国というヨーロッパの架空の小国。その国の聖マルグリット学園へ入学した、東洋からの留学生・久城一弥と、学園の図書館塔のてっぺんいにいる、不思議な少女・ヴィクトリカ。この名コンビが主役のミステリー小説です。


 このシリーズに出会ったのは、私が高校生の時でした。学校の図書館に全巻揃っており、夢中になって借りて読んでいたものです。全部読み終わってしばらく経ってから、面白かったのでどうしても手元に置いておきたいな…という気持ちになり、少しずつ集め、先日最終巻を再び読み終えたところで、この日記を書いています。


 私がこのシリーズに引き込まれた理由は多々ありますが、やはり一番大きいのは久城一弥とヴィクトリカの名コンビが大好きになったからでしょう。

 ミステリー小説ですので、謎を解きあかす「探偵」と、それを手伝う「助手」がいるのですが、このコンビが本作ではヴィクトリカと久城一弥になります。

 「探偵」の役割を担うヴィクトリカは、美しいビスクドールと見紛うほどの美貌の持ち主。甘いものと書物が大好きで、いつも豪奢なドレスに身を包み、図書館塔のてっぺんで読書にふけっています。しかし、その性格は全然甘くない。お姫様みたいな愛らしい姿をしているのにもかかわらず、その声は老人のように嗄れていて、尊大な物言いで口も悪い。「助手」の立ち位置を担う久城一弥には、散々な毒舌を披露しています。でも、極々、たまーに久城に甘えてる……?な時があり、ギャップ萌えってやつでしょうか?かわいいです。それと、毎回豪奢なドレスの描写が細かくてそこも引き込まれます。挿絵とかはないので、毎度圧倒的な筆力で紡がれた文字列からドレスの姿形を想像するのがとても楽しいです。

一方で、「助手」の役割を担う久城一弥は真面目な学生さん。東洋の島国から来たそうなので多分、いえ、名前からしても確実に日本人留学生でしょう。国を背負って留学してますから頭は良いです。良いんですけど、ヴィクトリカの怪物的な頭脳には程遠く、しょっちゅう彼女からバカだのかぼちゃ頭だの散々な言われようです笑。一弥は物腰の柔らかい少年なので印象としては頼りないんですけど、ヴィクトリカがピンチに陥った時に彼女を守ろうとする姿がとてもかっこよくて素敵なんですよね。


 そんなコンビの繰り広げるミステリーありの冒険が、とてもワクワクするんです。オカルトチックな不気味な雰囲気の中で起こる数々の事件。難解な事件をたちどころに解決するヴィクトリカと、騎士のように彼女の傍らに寄り添い、彼女を守る久城一弥。2人の親友同士の友情とも恋人同士の愛情とも取れる関係性は、とても微笑ましくいつまでも眺めていたくなります。そう、願わくば、ずっと2人でいられたら良いのに...と。

最終章神々の黄昏では、それを一番強く思いました。



ちなみにこの作品、何年か前にアニメ化してます!当時見てなかった自分を悔やみます。絵がすっごくかわいらしいんですよ!ヴィクトリカが特に!今度レンタルしてこようかしら。

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