オープニング3
湾岸スラム、D.U.S.T地区晴海エリア。
ことの発端は校内での噂。
中等部二年の女子が湾岸スラムに向かったっきり行方不明というのだ。
特徴は八重歯、付け角、自称魔神とのこと。
君たちはつい首を突っ込み、捜索に来てしまったのだ。
建物は比較的形を留めているものの人気のない通りを進んでいると、どこかから音楽が聞こえる。
音の出所は、ビルの地下に続く階段。
汚れの染み付いたコンクリートの階段を降りて、目の前にある赤い扉。
内側から陽気なジャズが漏れ出ている。
扉を開けるとバーがあった。
明らかに堅気の者ではない男たちが酒を飲み、宴に興じている。
だが手前にいた一人がこちらを見て
「誰だ!?」
と発した瞬間、その場の全員がこちらを見て構える。
「おい嬢ちゃん方、ここはお子様の来るとこじゃねえぜ?」
「とっとと帰んな!」
「待て待て、それ夜来学園の制服じゃねえか?」
「ヒーロー見習いが何しに来た!」
「探し人なんか知らねえよ!」
「なあ嬢ちゃん方、ここはギャングの溜まり場だぞ?」
「「「タダで帰れると思ってんのか?」」」
「やめなヘンチキ共!」
少女の声が高らかに響く。
「堅気相手に寄ってたかって、アンタら誇りはどこやったんだい?」
和装の少女を先頭に男たちが数人入ってくるのを見た瞬間、バーの荒くれ者たちの形相が一変する。
「う、浦島一家?!」
「おうよっと! 晴海の任侠者たぁ我ら浦島一家!」
「ここにおわすが一家の華にして大黒柱! 泣く子も黙る〈乙姫〉とはこのお方ぁ!」
バーのテーブルに駆け上がりながら乙姫と呼ばれた少女が大見得を切る。
「そうサ! 浦島一家の乙姫たぁおれのこと! 海千山千、さらに海千! 若輩と甘くみちゃあ溺れちまうぞ!」
「ちっ……分かった、分かったよ。分かったからそこの嬢ちゃん方連れて帰ってくれるか? あんたらとやるのは御免だ。」
バーのマスターが言う。
「あいよっ、じゃあ宴はウチでやろうか! 帰るよおめえら!」
「あいよ姉さん!」
「こいつらどうします?」
「しゃらくさい、そのまま持ってきな!」
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