実はアドリブだった映画のシーン 九選!

 映画の撮影は、すべてが台本通りに行われるとは限りません。

 中には、アドリブで撮られたが採用されることも。

 今回は、そんなシーンをピックアップしてみましょう。


 結構有名なシーンもあります。

 なので、個人的に好きなシーンを、ネタかぶりを気にせず紹介していきます。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・ロッキー(1976)


 ロッキーと言えば、トレーニングシーンですよね。

 一作目で、スタローンが市場をランニングしている最中、八百屋の主人がオレンジを彼に放り投げてきます。

 スタローンはオレンジを受け取って、投げた相手に挨拶をします。

 

 実はあのシーン、本当にスタローンをプロボクサーと思った店主が投げたのだそうです。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・真夜中のカーボーイ(1969)


 ヒモになろうとニューヨークに来た男が、結核患者とつるんで散々な目に遭う話です。


 ダスティン・ホフマンがジョン・ヴォイトと横断歩道を歩いているシーン。

 急にタクシーが突っ込んできて、ダスティンを撥ねそうになりました。


「オレは歩いているんだ!」

 

 タクシーのボンネットを叩き、ダスティンは運転手に向かって、怒鳴り散らします。

 実は、あれ、本気でキレていたのです。


 あのシーンですが、エキストラなしで撮影されました。

 そのため、何度も取り直しが続きました。

 そういった環境下で、本当に交通事故になりかけたのです。

 フラストレーションもたまるというものでしょう。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・そして父になる(2013)


 子どもの取り違えが発覚し、お互いの家族が「本当の息子」と、不器用ながらもふれあう作品です。


 是枝監督作品の本作では、子役の演技はほとんどアドリブだったとか。

 感情だけを説明して、後は好きに演技させたそうです。


 リリー・フランキーさんは、自分の息子役を「師匠」と呼んでいたそうですよ。


 同監督の2004年公開映画『誰も知らない』でも、子どもたちの演技はほとんどがアドリブだったそうです。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・トゥルーライズ(1994)


 普通のオッサンがスパイだった話です。


 ジェイミー・リー・カーティスが、シュワちゃんの前でポールダンスを披露する場面。

 ジェイミーはベッドの柱で手を滑らせてずっこけます。

 

 この時、シュワちゃんは手を貸そうとします。

 ですが、ジェイミーはすぐさま立ち上がり、ダンスを再開します。


 本来ならばNGシーンになるはずでした。

 監督は、彼女が「不器用な主婦」を見事に表現していると、このNGシーンを採用しました。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・ロード・オブ・ザ・リング(2001年)


 アラゴルンを演じる俳優、ヴィゴ・モーテンセンは、数々の伝説を映画の中で残しました。


 一作目。

 オークの首領がアラゴルンの方へ短剣を投げるシーン。

 実は、相手の方へ飛ぶだけのはずでした。しかし、俳優が特殊レンズを付けていたせいで、アラゴルンの方へ正確に飛んでしまいます。

 なんと、アラゴルンはそれを見事剣で弾き飛ばしました。


 二作目。

 アラゴルンが、敵の兜を蹴り、悲しみに打ちひしがれて両膝を崩すシーンがあります。

 あれは、足の指の骨を折っていました。

 つまり、激痛で叫んでいるのです。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・ユージュアル・サスペクツ(1995)


 容疑者五人を並ばせ、紙に書かれた台詞を言わせるシーン。

 

 このとき五人の俳優は、誰一人として真面目に演技しませんでした。

「キーをよこしな、ちんぼっこ野郎! アバババババ!」

「こっちへキーをよこせ、おちんちん野郎……」

 互いにふざけて、笑わせ合いが始まったのです。

 ベニチオ・デル・トロなどは、台詞を言う前に吹き出してしまいます。


 キレた監督は、当てつけでこのシーンを採用。

 今では名シーンとして愛されています。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・マトリックス(1999)


 車の後部座席から、馴染みの店を指さすシーン。


「ヌードルが美味いんだ」


 キアヌリーブスはラーメンが好きだそうで、アドリブで使用した台詞だったそうです。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


・Mr.Boo! 吹き替え版(1976)


 マイケル・ホイの吹き替えと言えば、広川太一郎さんが有名ですね。

 実はこの映画、広川さんが

「もたもたしている。吹き替えで面白くしよう」

 と、ディレクターと相談した結果、本編にはない台詞を入れまくっていたそうです。


 吹き替え映画は、掘り起こせば、まだまだネタが出てきそうですね。


           ◇ * ◇ * ◇ * ◇



・フルメタル・ジャケット(1988)

 

 この映画でおなじみの人物と言えば、ハートマン軍曹ですよね。

 若い訓練兵を相手に罵詈雑言を浴びせ、叱責しまくる場面は、パワハラを通り越してもはや拷問です。


 そんなハートマン軍曹を演じるのは、R・リー・アーメイといいます。

 実は彼、アドバイザーとして呼ばれた本物の軍人さんです。

 その演技指導っぷりがキューブリック監督に評価され、映画出演となりました。


 コッポラ監督の戦争映画、『地獄の黙示録』にも、ヘリコプターパイロット役として出演しているそうですよ。



           ◇ * ◇ * ◇ * ◇


 いかがだったでしょうか?

「自分はこんなアドリブ映画を知っている」という方、是非ともコメント欄で教えてください。

 

 最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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