第85話 ゴシの話26

木星第1エリアのダイス型無重力構造都市トメト、

その中のモジュール都市イジヤンにある、明後日

のライブ会場、クラブ・ウルゲンチ。

 

そこに22時に着くようにホテルを出発する。

アラハントのメンバーは下見も兼ねているが

基本遊びにいくということで、持ってきている

服でそれぞれオシャレをしてきている。

 

サクハリンの二人は有名人のお忍び風だ。

まあ、仕方ないだろう。

 

ゴシ・ゴッシーはなぜかブルーの縦じまの

フォーマルなスーツ。青のハット。ピカピカ

のとんがった靴。渾身の一張羅だ。

 

マルーシャが、今日はかっこいいですね、と言って

くれる。もちろんだ、と返して親指を立てる。

 

週末の夜の街は混雑していた。

 

ウルゲンチの入り口は道に面している。入ると、

一万人規模の大きさなのはいいのだが、やはり

構造が違う。

 

観光客向けのレストランなどは上下の有無が

ある構造だったが、クラブとなるとそうでも

ないようだ。

 

天井側にも床がある。

 

「ここはでもまだわかり易いほうなんですけどね」

ジェフが言う。洞窟のように入り組んだ造りの

クラブもざらにあるそうだ。

 

確かに、ステージも上下2面になっていて、それを

囲むかたちで上下や側面が床になっているので、

複雑に入り組んだ構造になっているわけではない。

 

しかし、とゴシは思う。

この、特殊な服装をした人たちは何なのだ? 

 

「レイバー、またはヒッピーと言ってもいいね」

リョーコが教えてくれる。かかっている曲の

ジャンルも、アウトサイドエナジーという最新の

ものらしい。

 

ゴシには、第3エリアの一般のクラブなどでかかって

いるマヌカビートとどう異なるのか違いがわからない。

 

アミとウインとマルーシャは中に入るなりはしゃぎながら

どこかへ行ってしまった。

ジェフとエマドとフェイクもどこかへ行ってしまった。

ジェフがかわいい店員紹介してあげるとか言ってたな。

 

なので、リョーコ・ミルズと二人でドリンクを買って、

適当な場所に佇む。フロアは適度に混んでいた。

 

ところで、さっきから気になっていることがある。

クラブに来ている客の中には、当然女性もいる。

そして、無重力なので、とうぜん全員パンツスタイル、

かと思いきや、スカートの女性がけっこうな

数いるのだ。

 

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