第81話 ゴシの話22

太陽系外縁で小型の無重力都市が造られ始めた

のは、今から1万2千年前の宇宙歴1万年ごろだ。

数キロ単位のものが宇宙歴1万6千年ごろ、

10キロ立方レベルは1000年前だ。


100キロ立方になると数百年とかなり最近だ。

そして、同時に居住用構造物の標準化も

行われている。


この構造都市の家は、居住キューブと呼ばれる、

5メートル立方の部屋を単位としている。

内部はだいたい20平米ぐらいになるが、

立方体なので少なくとも重力下でいうところの

2階建てぐらいの居住面積は取れる。


そして、工場や農場なども基本的にこの大きさ

を単位に構造が決定される。


おそらく、この標準化による利点欠点が数世紀

かけて明確になったのち、もう少し自由度の

高い基本設計が行われるはずだ。もちろん

仮に欠点がなければこの標準が一般化され

使われ続ける。


この5メートル立方の居住キューブに

一人ないし二人、新婚夫婦も子どもが一人で

小さければ住める。子どもが増えれば

新たにキューブを接続して部屋を広げる

こともできるし、元から2キューブ分の

広さをもつ家を購入しなおしてもよい。


キューブは民間で購入してもよいし、民間

レンタルもあれば行政のレンタルもある。


このキューブのひとつの特徴は、短時間であれば

真空中でも気密が保てることだ。都市が気密事故に

遭った場合も、家に備え付けている宇宙スーツ

に着替えて空気ヘルメットを着用するだけの

時間は確保できる。


将来的には、かなり先の将来であるが、エアーロック

を付けて、このキューブのみで宇宙空間にそのまま

都市を構築することも検討されている。


家の外に出ればすぐ宇宙、というわけだ。


最小5メートル立方のキューブの居住推奨人員は

1名から2名であるが、都会となると事情が

異なり、数名がルームシェアなどで詰め込まれる

ことになる。ただ、それはいつの時代も

似たような状況なのかもしれない。


キューブ含めたすべての構造物は、軽くて丈夫な

都市フレームと呼ばれる柱に接続して使用する。

街を拡張する場合、空間にこのフレームを伸ばして

いき、居住キューブや設備を接続して街を広げていく。


では、いったいどの程度の人口がこの無重力

都市に住めるのであろうか。

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