第4話 サトーの話2

家に帰ってまず確認したのは、最近の女性の格闘家の

画像や動画であった。そして、やはりいた、年齢や背格好

がその少女にそっくりな選手。


しかも車で2時間の場所にその子たちが所属するジムの支部

があった。翌朝仕事に行くふりをしてそこを訪ねる。職場

には身内に不幸があったとして一時帰国とその準備のための

休暇を願い出ていた。


そして、会えた。本人たちではないが、トレーナーで

母親のエマ・ハントである。本人たちはすでにプロ

格闘家としてデビューしており、そこにはいなかったが、

ジェニーとジェシカ、親のエマも現役当時そうとう

強かったが、期待の双子だった。


エマに入門希望と別に話がある旨を伝え、部屋に案内されて

さっそくその話を切り出した。


「それはうちの娘たちじゃないね。最近は印象づくりもあって

一人で行動することはほとんどないし」

「あの二人地上はそんな好きじゃないみたいだし」

「でも思いあたる節もあるんだよ、下の子と話してみる?」


ジェレイドはその双子の弟で、彼ももうすぐデビュー間近だった。

「それ、サキかもね」

従妹がいるとのことだった。3人並べばだいぶ違うのがわかると。


しかし、驚いたことに、その双子は女子選手なのにジェレイド

より強い、いや、重量級のトップクラスでさえ倒してしまう

かもしれないと。そしてさらに、サキはもっと強いらしい。


「小さいころから何度か練習したけど、一度も勝てなかった」

「あんた前に一度も触れなかったって言ってなかった?

 まあプロデビュー前にそんな話他人にできないか。」

「なんせ親があれだからねえ」と横からエマ。

親も有名な人らしい。


が、そのあとエマから出た話も驚愕、というかある程度

予想できた部分もあるが、他人からあらためて言われると

膝の裏あたりにぞわぞわと寒気を感じた。


「家族も含めて狙われると思ったほうがいい」

もう少し出世していれば、脅迫して口止め、というかたちを

とってくるところだが、今の位置だと消される、らしい。


「うちは警備会社もやってるでしょ、その手の話多いんだよ」


「うちの本部ジムに来ればいい。そう、家族で宇宙に移動。

ちょうど仕事も募集してたから、新聞記者でしょ?

ブログ書けるよねえ?」


というわけで、妻をどう説得するか、そこだけだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る