見えない。

三枝 早苗

第1話 飛行機事故

 ぴろぴろぴろっヒューンっドカーン!部屋中に、爆発音が響く。いやぁ、最高だね。大音量でやる闘争ゲームほどいいのってないよ。

 チャラリラ~♪ゲームの雰囲気をぶち壊すような間抜けな着信音に僕は、顔をしかめた。 

 「もしもし?」

僕は、ゲーム機を片手に電話に出た。

「おい。お前さぁ、親友様々の電話くらい静かにでてやろうとか思わないわけ?」

ドガガガガガッと、障害物が引きずられる派手な効果音が流れた。 

「おまえだからだし。今いいとこなんだよ。」

「それより、お前さ、ニュースつけてみ?マジやべぇ」

「は?なんて?」

聞こえず、僕は、聞き返した。

「だぁかぁらあ!ニュースをつけろっ!」

「ったく、んだよ。だりぃなぁー。」

言いながら、ゲームを止めリモコンに手を伸ばした。親友ってそういうもんだ。

 「うわ…」

画面に映された映像に僕は、顔をしかめた。

「ひでぇな。」

「飛行機事故だってさ。こんな都市部に墜落してやべえよな。原因も不明らしい。俺、やっぱホームステイ行くのやめてぇ。マジでやべえ。」

いつもなら、お前やべぇしか言えなえのかよ、なんて言うところだけど、いつもの僕のツッコミは、画面のなかに吸い込まれてしまった。

海におちる一歩手前で力尽きてしまったであろう飛行機は、ビルに突き刺さるような形で、燃え上がっていた。

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