第2話 おおぐまちゃん、都会で驚く

夕方6時頃に駅についた。駅は思っていた以上の広さだ。たくさんのくま達が忙しそうに歩いている。大家さんに連絡をとり、鍵をを受け取って新しい住まいに向かった。4階建てのアパートで部屋の間取りは2LDK。日当たりも眺めもいいと思う。山の家に比べるとずいぶん狭いし、近所に緑がほとんどないのが残念に思った。でも時々ベランダにやってくるハトを見ると仲良くしていた鳥たちを思い出し心が和んだ。まだお金に余裕があるけれど、やはり仕事を探さなくてはならない。山で育ったので体力には自身があったし、お母さんに仕込まれた料理の腕前は山の仲間達に大評判だった。都会に暮らしていた友達の勧められ、小さな食堂のコックになることにした。


近所のレストランで食事をしたが山とはずいぶん食材が違う。また調理に使う道具も違うみたいだが、まあ慣れれば問題はない。ただ食材が思わない形で売られているのにはびっくりした。たとえば鮭だ。山にいたときは森の奥の川で釣り、さばいて焼いたり、マリネにしたり、燻製にしたり一匹でいろいろ楽しめたが、切り身をパックして売られているのが普通で値段が驚くほど高い。都会の人たちはどうやって暮らしているのか不思議に思った。

肉屋・八百屋・魚屋いろいろな店に美しい食材が並んでいる。

「仕事が始まるのは2週間後だから、いろんなものを食べてみよう。」

と思いながら別の店を覗いたところインスタント食品に目についた。

「お湯をかけるだけでできるんだ。」

中でもインスタントラーメンが気に入り、5個も買ってしまった。

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