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「その前にメテオラくん。もう一度、メテオラくんの目撃した幽霊の話をできるだけ詳しく僕に話してくれませんか?」
「できるだけ詳しく、ですか?」
「そうです。できるだけ詳しくです。見えないまでもどんな顔立ちの雰囲気をしていたのかとか? その声が誰かの声に似ていたとか? 背が高いと言っていましたけど、それは正確にはどのくらいの高さなのかとか? 身に纏う雰囲気が森の魔法使いの誰かに似ていないかとか? そのほかにも、メテオラくんが気になったことがあれば全部、今ここで僕に話してください。
あとメテオラくんは誠実な性格をしていますし、こんなことを言う必要はないとわかってはいるんですけど、一応言っておきます。僕に嘘は通用しません。だからなにかの情報を、たとえば幽霊の正体に察しがついているのだけど、その幽霊を庇いたいと思っているとか、そういうごまかしをしようとしても無駄ですよ。僕に嘘ついたら一発でばれますから、そのつもりで話してください」
「わかりました。もちろん嘘は言いません。ありのままをお話しします」
「はい。お願いします」
それからメテオラは顔の見えない背の高い魔法使いさんのことを覚えている範囲で、できるだけ手短にマシューに話した。つい先ほど、ニコラスにその話をしたばかりだったので、メテオラの説明はとても短く、かつ正確なものになった。
その話の中でとくにマシューの興味を引いたのは魔法使いさんの持っていた杖に蛇の彫刻がなされていた、という話だった。
「それは確かですね? 間違いなく蛇でしたか?」とマシューが真剣な声でメテオラに確認する。
「はい。蛇でした」
「見間違いではなくて?」
「いいえ。確かに蛇でした」メテオラはそう答えたところで、その蛇の彫刻がモリー先生の持っている魔法の杖の彫刻と似ている、と言うことを思い出した。
「モリー先生が持っている魔法の杖に蛇の彫刻がされていますよね? ちょうどあんな感じの彫刻が僕が見た魔法使いさんの持っていた杖の先っぽにもされていました」とメテオラは言う。
その話を聞いてマシューが黙り込む。
通信機の向こう側で、マシューはじっとなにかを考えているようだ。
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