37

 デボラとアビーはメテオラも知っている魔法学校の生徒で、魔法の森と魔法学校でいたずらばかりをしている問題児コンビとして、魔法の森の大人たちや魔法学校の先生たちから要注意をされていた。ただし、魔法学校の生徒たちや魔法使いの子供たちからはとても人気があり、事実メテオラもデボラとアビーのことは大好きだった。

「マグ先生、ことしのしけんなんですが、ないようがむずかしすぎるとおもいませんか?」

「……うん。ほかの先生とも話したんだけど、確かに難しいと思う。……どうしてだろう? なにか理由があるのかな?」

 マグお姉ちゃんとモリー先生の話は続き、メテオラが不安になる会話な話を始める。

 ……いや、不安になっている場合じゃない。僕は卒業試験に合格して、きちんと一人前の魔法使いにならなくちゃいけないんだから……。

 頑張って、マグお姉ちゃんに恩返しをしないと、いけないんだから……。

「……メテオラくん?」

 モリー先生の声が聞こえる。

「メテオラ? どうかしたの?」

 マグお姉ちゃんの声が聞こえる。

 ……メテオラ? ……メテオラくん?

 それはどこか遠いところからの呼びかけ……。メテオラはその声を聞いて、それから世界が急に真っ暗になって……、そして最終的にはなんの音も聞こえなくなった。

 メテオラはそのまま温泉の中で意識を失った。

 どうやらメテオラは、温泉の中でのぼせてしまったようだった。


 そして、次にメテオラが気がついたときには、そこはだんだんと暗くなり始めた空の中だった。魔法の森の温泉も、モリー先生の姿もない。ここは魔法の杖の上。背後に人の気配を感じる。それはマグお姉ちゃんだった。

「……マグ、お姉ちゃん?」メテオラは言う。

「メテオラ! 気がついたのね。よかった」

 本当に嬉しそうなマグお姉ちゃんの声。

「えっと僕はどうなったんですか?」

「メテオラ、温泉の中で意識を失ったんだよ。それで私は慌てちゃって……、でもモリー先生が冷静な処置でメテオラを治療してくれたの。それで、大丈夫だっていうから、急いで家まで帰ろうと思って、今帰っている途中なの」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る