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 マグお姉ちゃんはカバンの中から香薬の瓶を取り出すと、メテオラの手を引いて湯けむりの中に移動した。

「お湯に浸かる前に体を洗ってあげるわ。これ、とれたてのバラの花と薬草を混ぜて作った私の手作りの香薬なんだよ。これを使えば、疲れなんてあっという間に吹き飛んでしまうわ」

「はい。ありがとうございます」

 メテオラは言われるがまま、されるがままに、マグお姉ちゃんに髪と体を洗ってもらった。

「メテオラの髪、相変わらず頑固だね」

 マグお姉ちゃんはとても楽しそうだったけど、メテオラはあんまり楽しくなかった。温泉は大好きだけど、できれば一人で入りたかった。

「目、痛くない?」マグお姉ちゃんが言う。

「痛くないです」メテオラは答える。

 メテオラの体を洗い終わったあとで、マグお姉ちゃんは自分の髪と体を洗い始めた。それが終わると、マグお姉ちゃんは長い黒髪をタオルでまとめて、メテオラの手を引いて温泉の湯船の中に入った。

「いい湯だねー」

「はい」

 強引に連れてこられた温泉だったけど、入ってみたらやっぱりすごく気持ちよかった。それに最近はずっと一人でお風呂に入っていたけど、久しぶりのマグお姉ちゃんとのお風呂も、楽しいといえば、やっぱりそれなりに楽しかった。

 メテオラはゆっくりとお湯に浸かった。

 そのとき、ふとメテオラの目に温泉の湯けむりの間から一人の魔法使いがこちらに近づいてくる影が見えた。誰かが温泉に入りにきたのだろう。

 メテオラはマグお姉ちゃんの体を揺すって、そのことをマグお姉ちゃんに知らせた。


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