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強烈な加速にメテオラとニコラスは思わず目をつぶった。
「うわ」
そして二人が次に目を開けると、そこにはどこまでも続く青色の空と、巨大な白い雲、そして地上に広がる緑色の魔法の森の全景があった。
近くにはさっきまで授業を受けていた魔法学校の姿も見える。その塔のような魔法学校は地上で見るとあんなに巨大だったのに、空から見るととても小さくて、まるでよくできた模型のように見えた。
「しっかりつかまってなさい」
マグお姉ちゃんはそう言うと、思いっきりスピードを出して空の中を飛行した。
マグお姉ちゃんの杖の前方に乗せられたメテオラはいつものマグお姉ちゃんの腰ではなくて、ぎゅっとマグお姉ちゃんの杖につかまって、そのまま杖に覆いかぶさるようにして体を小さく縮めた。
マグお姉ちゃんの杖の後方に乗せられたニコラスは青白い顔をしながら、ぎゅっとマグお姉ちゃんの腰にしがみつていた。
……速い。メテオラは思う。
世界があっという間に後方に吹き飛んでいく。……しかもそれだけじゃない。ものすごく飛行が安定している。風が邪魔にならない。本当に風を切っている。僕とニコラスを乗せているのに、そんなのまったく御構い無しだ。
これがマグお姉ちゃんの魔法。
本物の飛行術。天才と呼ばれる魔法使いが、……空を飛んでいるときに見ている風景なんだ。
メテオラは両目を開けて世界を可能なかぎり確認する。
そのままマグお姉ちゃんはしばらくの間、空の飛行を続けた。
マグお姉ちゃんは明らかに遊んでいた。ニコラスの家につくだけなら、もうとっくについているはずだった。
マグお姉ちゃんはときに雷鳴のように激しく空の中を飛んで、ときに遊覧船のように緩やかに空の中を移動した。
「どう? 楽しいでしょ?」マグお姉ちゃんが言った。
「はい。……本当に」とメテオラは言った。
ニコラスからの返事はない。
ニコラスはもう返事をするとか、それどころではない状態になっていた。
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